廊下は走るなー!と先生の怒る声が聞こえる。
だけど俺は人と人のあいだをかき分けて走ることを止めない。
否、止めたら地獄でしかないのだ。
「#name1#〜!!」
「三上先輩こないでくださいー!」
涙目になって俺は走る。後ろから般若のような顔をして追いかけてくる三上先輩。
廊下のギャラリーたちはすっと真ん中を開けてくれ「またお前らか」とか「今度は何しでかしたんだよ」とか茶化してくる。
「燐くんがんばれー!」「先輩、水無月くんのこと犯しちゃってくださーい」など女子の黄色い声に腐った声が入り混じる。
誰だ!犯しちゃってくださいっていたやつは!スカートめくるぞ!
全速力で1階から3階まで登り、そして立ち止まり息を整える。
心臓の鼓動が激しすぎて苦しい。
「犯してやれだとよ。水無月」
「ひぃ!」
いつの間においついたのだろう。
三上先輩は涼しい顔で俺の隣にいた。
鼓動の早い心臓と走りすぎてガクガクいってる足にムチをうち走り出す。
「ったく。あーやって小動物みたいな顔をして逃げるから追い掛け回したくなるんだよなぁ」
先輩がそう呟いて笑っていただなんて全速力で走ってる俺は全く知らなかった。
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