黒子 Side


黄瀬くんの提案により来てしまった烏森学園。

ここは妖、と呼ばれるものが集まる場所だと霊感のある祖父が言っていた。

中に一歩踏み入れるだけで分かる感覚、背中からゾクゾクとこみ上げる寒気。

確かにイる。

チラッと赤司くんを見るといつもの余裕な顔はどこへやら。

冷や汗が首筋をなぞっていた。


「うわっ!地面がいきなり凹んだ!」

「ガラスが独りでに割れたのだよ!?」

「すご〜い。木が浮いてる〜」

「こっ怖くなんかない・・・っスからねっぎゃああああ」


何も視えていないであろう他4人は悠長に心霊現象を楽しんでいるようです。

言いだしっぺの黄瀬くんが怖がりだなんて可愛いですね。殺してやりたいです。

妖が僕たちの訪問を歓迎していないかのように僕たちに向けて攻撃をする。

視えていない4人は悪運が強いのかスルスルと攻撃を避けていく。


「テツ、どうしたんだい?」


いきなり赤司くんは僕に問いかける。


「えっ僕何もしてませんけど」

「・・・じゃあもしかして」


赤司くんは顔を真っ青にして振り向くと1つ目の妖が唾液を垂らしてこちらを見つめていました。

妖はまるで美味しいそうなエサを見つけたと言わんばかりの満面の笑みを浮かべ赤司くんを掴む。


「っ!」

「赤司くん!!」


赤司くんの体が宙に浮く。

僕の身長では届かない。

緑間くん、あるいは紫原くんならまだかろうじて届くであろう場所へと赤司くんは釣り上げられる。

しかしその当の本人たちは全然気づいてもくれない。


「ぐっ・・・う」


妖は赤司くんの体を潰すように握る。

苦しそうな声だけが赤司くんの口から漏れる。

僕にはどうにもすることにできない。

もう、何も・・・・


「定礎!結!」











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