広場に行くと大きな十字架がそびえ立っていた。

魔女狩りが行われるのだろう。

どうして真太郎はこの場所へ?


「ねぇ、どうした・・・っ真太郎痛い!」


真太郎は燐の長い髪の毛を引っ張る。

綺麗だ、と褒めてくれた長い髪を乱暴に引っ張り腰につけていたナイフでバッサリと切り落とした。


「俺をよくもたぶらかしてくれたな。魔女め」

「真・・・太郎?」


真太郎はまるで汚いものを見るかのような目で燐を見て、家臣に燐を十字架に張り付けろと命令をする。

燐は何がなんだか分かっていなかった。

ただただ真太郎が自分を拒絶し憎悪している事だけが理解できた。

十字架に抱かれ悪魔と呼ばれる。

体が悲鳴を上げる。痛い、痛い。

でも体よりも心が痛い。

真太郎、どうして?


「火炙りにしろ!」


真太郎は家臣に火をつけさせる。

悪しき呪文を叫ぶ前に。

薪に火がともりメラメラと燃え上がっていく。

足が熱い。全身が熱い。

十字架に抱かれて空を仰ぐ。

祈りの声などかき消される。




「この愛も魔術だとっ偽りだと言うのかっ!真太郎!」


燐は真太郎を見る。

その目はかつての真太郎を見る愛で溢れる優しい目

真太郎ははっと自分のした愚かな行為に憎悪を抱く。

こんな愛しい目をする人が魔術でたぶらかすのか、と。

しかしもう遅い。火は燃え上がり次第に体へと移っていく。













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