燐と真太郎は燐が外へ出るたびに出くわし、そして何かを一緒に共にしていった。
最初は帰るまでの道のりを一緒に歩いた。
またある時は途中で一緒にご飯を食べた。
またある時は一緒に買い物をし、またある時は手を繋ぎ散歩に出かけた。
そしてまたある時はお互いの唇に触れ、愛を誓った。
「真太郎、愛してるよ」
「ああ。俺もなのだよ」
燐は外へ出る機会が増えていった。真太郎に会えるからと。
真太郎も王宮にいるよりも外へ繰り出す事が増えていった。燐に会えるからと。
2人が生きている時代は同性愛は禁忌とされており見つかり次第罰せられる。
それはお互いが承知している事だった。
真太郎が一国の王子できっと自分に全て皺寄せるだろうと燐は思っていた。
でも、この時はと真太郎を強く抱きしめ熱を感じた。
一国の王は時々不審な行動をする真太郎に不信を抱いていた。
彼もまたあまり外へ行きたがらない性格だったが最近は自ら率先して行くようになった。
いつかはこの国を収めていく人間で国の事を知るのはとてもいい事。
なのだが最近の真太郎はおかしい。
外に行かない日は上の空で業務を片付け、行く日になるとその時間までそわそわしている。
王は嫌な予感が頭によぎる。
もしかしたら魔女にたぶらかされているのではないか、と。
「テツヤ」
「はい。王様」
「最近真太郎の様子がおかしい。少し見てきてくれないか。魔女にたぶらかされてないか、どうかね」
王はテツヤと呼ばれる聖職者を呼び真太郎の尾行を命じた。
テツヤは2つ返事で了承し部屋を出て行く。
王は怪しくニタリと笑った。
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