貴方がいればそれでいい。

貴方が微笑んでくれればそれでいい。

貴方がよくやったな、ってくしゃくしゃに頭を撫でてくれればそれでいい。

貴方がバスケを楽しんでくれればそれでいい。

貴方が僕たちをもって見てくれれば、

貴方が僕たちの気持ちを受け入れてくれれば、

貴方が僕たちのものになってくれれば、

貴方が僕たちのために・・・


同性同士、禁忌の愛。

結ばれる事を祝福されるのはとても少ない。

そんなのは百も承知。

しかし伝えたい、伝えなければいけない。

気持ちだけが焦っていき、ついにあの日が来た。



「先輩。私お話したい事があるんです」

「ん?どうした、近藤?」


僕たちが2年生に上がったある日の夏。

2軍が練習している体育館倉庫。

優しい燐さんはマネージャーの仕事も手が空いたら手伝っている。

その日も1年のマネージャーを手伝っていた。

僕たちはその事を知っているから体育館倉庫近くでじっと待っていた。

終わったら一緒に帰ろう、そう思って。


「あっあのっ。わ私先輩の事が好きなんです。ひたむきに頑張ってる姿とか後輩に優しい姿とか・・・だ、だから付き合ってください!」


近藤は燐さんに告白した。

頬は羞恥からか赤く、少し涙で潤んだ瞳。

程よく肉がついてる小さくて柔らかい体に胸。

性格も申し分ないし男子中学生にとっては理想の女性像だろう。

燐さんは照れくさそうに首の裏を掻きながら近藤に伝えた。


「俺でいいなら喜んで」


そうハニカミながら。

近藤は嬉しい余りに泣き出し、燐さんの大きな胸板へと飛び込む。

燐さんは近藤をギュッと力強く抱きしめ愛おしそうに頭を撫でた。


僕たちはその現場を見て立ち尽くした。

オレデイイナラヨロコンデ?

どうして燐さんそんな事言うんだい?

アイツを撫でる大きな手も

抱きしめてる腕も支える胸も

見ている目も話している口も

何もかも全てが僕たちのものじゃないか













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