「それ、僕たちです」
「ん?」
「拾っていただいでありがとうございます。先程までダンボールの中で泣いていたのは僕たちです」
・・・え。なに言ってるんだ。この男子中学生。
水色の少年は首をかしげてこっちを見る。
な、なんか可愛い。
「実はですね。僕たちマネージャーの手料理を食べてしまってこうなってしまったんです」
「はぁ?」
黒子テツヤと名乗る黒猫もどきから話を聞く。
要約するとこうだ。
6人はバスケ部に所属する中学生で2泊3日の合宿を行っていた。
その時に料理ベタなマネージャーさん2人による手作りカレーを無理やり食べさせられてこうなってしまった、とのこと。
猫になってしまい隅っこでじっとしていたらヒラヒラと飛ぶ蝶を見つけた。
本能に逆らえず狩りをしていたら帰り道がわからなくなって小学生に拾われてしまう。
が、しかし親に反対されダンボールに入れられてあの場所に捨てられた。
そして今度は俺に拾われてこの家に来た。
「・・・でいいんだな。黒子くん」
「ええ。そうです。夜になって元の体になったかと思ったのですがこれでは帰れません」
これ、と黒子くんが指差すのは自分に生えている耳や尻尾。
確かに家に帰って息子が猫耳生えましたなんてなったら大騒ぎになるもんな。
「にしてもお前ら合宿中だろ?留守にしていいのか?」
「それに関してはさっき連絡したよ。ようやく一時的にでも人間の姿になれたし」
「あっちはあっちで原因をさぐるようだ。俺らが猫のままだとまたいつ危険な目似合うかわからないからしばらく俺らを預かってて欲しいとのことなのだよ」
「・・・誰を?」
「もちろん俺たちをっス!」
猫の姿ならあまり場所とらないからいいけど高校生6人も寝れるような場所なんてこの家にはない。
冷たいと思われてもしょうがないからダンボールの中に戻すしか方法はないようだ。
でも、困ってるみたいだし・・・。
どうしようか悩んでいると黒子くんが俺の服を引っ張る。
「僕たちを見捨てちゃうんですか?」
「うっ・・・」
「食事とかは僕たちがなんとかする。ただ寝泊りさせてもらえるだけでいいんだ」
「・・・」
「ねぇ〜。だめぇ〜?」
つぶらな瞳たちが俺を見る。
うっ可愛くてしょうがない。
「き、今日だけなら・・・」
「!!」
「やったっス!」
「恩に着るのだよ」
今日だけ大家族。
たまたま今日母さんが夜勤でいないことをどれだけ喜んだことか。
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