師匠に見送られて家に帰る。

見送られるってたって隣のマンションだ。

目と鼻の先にある。

病院に来た時とは違ってダンボールの中で元気に動き回る子猫たちをなだめながらドアを開けた。


「ほーら。お前ら。ここが新しい家だぞー」


子猫たちをダンボールから優しく1匹ずつ出していく。

新しい環境で警戒しているのか、隅っこで固まってきょろきょろ見渡していた。

まあしばらくはその調子だろうと子猫をそのままに押し入れにしまってあるペット用のトイレやベッドなどを出す。

餌入れは足りないから要らない食器でもだそう。

子猫用ミルクは師匠から頂いたのでそれをしばらくは与えて・・・


ガタガタ!


これからの生活のことをもんもんと考えていたら子猫たちがいる俺の部屋から大きな物音が聞こえる。

何か落としたんだろうか。

怪我はしていないだろうか。

いそいで部屋へと向かう。


「大丈・・・」

「いったぁー!青峰っち酷いっス!」

「うっせぇんだよ、黄瀬。ニャーニャー耳元で泣きやがって」

「お前も煩いよ。大輝」

「ここはどこなのだよ」

「お菓子ーお菓子食べたいー」


俺は猫の安否を確認しに来たはずだ。

しかしおかしい。

目の前に映るのはカラフル頭の男子中学生が猫耳つけてたむろっている様子。

俺は思わず目を擦ってもう一度見る。

男子中学生だ。男子中学生がいる。

ここは、俺の家。俺の部屋。

けしてよそ様のおウチにいるわけじゃない。

じゃあコイツらは誰?

というか子猫たちはどこへ行った?

ただぼーっと言い争っている様子を見ていると水色の髪の少年が俺に気づき近づいてくる。


「あ、先程はありがとうございました。貴方が拾ってくれなければ僕たちどうなってたかわかりませんでした」


ピクピクっと水色の髪から生えているのは紛れもなく黒猫の耳。


「え?拾う?拾ってきたのは猫で人間じゃ・・・って猫!子猫たちはどこだっ」


机の隙間やベッドの下などを見る。

けどいない。












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