俺は今日、この時驚愕の事実を知った。
先輩たちはいつもの朝練では見かけない大きな袋を体育館に置き誰かを待っていた。
その誰かというのは、
「ごめん。遅くなった」
「誕生日おめでとう!伊月」
「お、あそっか。あり・・・はっありが十匹ありがとう!キタコレ!」
「全然きてねーっつうの」
伊月先輩のいつものダジャレに主将はツッこむ。
ただそのツッコミも今日はどことなく優しげで。
俺たち1年生はその光景をただ呆然と見ていた。
「今日伊月先輩の誕生日なんですか?」
「そうよ。だから前日に準備してたの」
と、黒子の問いにカントクはしてやったりな顔で答える。
俺らに言わなかったのもWC前で変に気を遣わせるのも悪かったから、とのもあるがカントクたちも思い出したのが昨日だったらしく言ってる暇もなかったそうだ。
しかし、俺たちにとって言ってもらえなかった事がショックで、1年トリオも光影コンビもどうしようと頭を抱え悩み始めた。
もちろん俺も。
俺は今日伊月先輩の誕生日だってことを知らなかった事、伊月先輩から誕生日を教えてくれなかった事2つショックを受けた。
ショックとプレゼントの悩みでそれからの朝練はおろか授業さえも身に入らなかった。
それどころじゃない。
部活もダメダメだった。
「おおい、どこパスだしてんだよ!ダァホ!」
「す、すみません、主将」
パス錬でも変なところにパスする。
「ちゃんとシュートぐらい決めやがれってんだ」
「サンキュー、火神・・・」
シュートは決まらず、火神に助けてもらう。
そしてしまいには、
「ったー!」
「大丈夫ですか?水無月くん」
「大丈夫、大丈夫。ハハハ・・・っ」
コケて足をくじく始末。
本当に情けない。
情けなさすぎて涙が出そうだ。
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