朝、俺は遅くまでバイトをしていたためまだ眠い。

カーテンからもれる朝日から逃げるように布団をかぶる。

今日は授業も、バイトもなく1日中ずっと寝る。

俺は同居人に伝えベッドとお友達になっていた。

そう思っていた。ついさっきまでは。


「リン!?どうしたの?」

「うわぁーん!レンどうしようー」


同居人であるボーカロイドの黄色い双子が朝からキャンキャン騒ぎ始める。

寝返りを何度うってもうるさくて眠りにつくどころかどんどん覚醒させられていく。


「どういうことなのさ、リン!?」

「私にもわからないわよぉ。マスターに聞いてみなきゃ」


3人一緒に寝るためのキングサイズのベッドが軋む。

こいつらはどうも俺を寝かしてくれないらしい。


「マスター、マスター!起きて!リンが大変なんだ!」

「マスタァー!お願いだから起きてよぉ〜」


ゆさゆさ2人が力任せに揺さぶるものだから流石の俺も目覚めるしかなかった。


「あーっもう!うるせぇな」


無理やり目覚めさせられた元凶の2人が最初に発した言葉が、

『リンが男になった』だった。

確かに今日のリンの声は普段よりも低く、少しだけ骨格もがっしりしている。

極めつけに朝トイレにいったら昨日なかったブツがあった、のこと。

理由は俺にもわからないし、分かりたくもない。

ただそれが現実であることはそこにいるリンが証明している。


「ったってお前らは人間じゃないから病院にも行けねぇし・・・行ったところで女の子が急に男の子になりました、なんて言えもしない」


はぁ、つい数分前に起きたばっかなのに今日何度目のため息だろうか。










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