がむしゃらに走ってたどり着いたのは屋上。
まずい選択肢をした。
逃げ場を自ら失っているじゃないか。
だって、1つしかない出口は・・・
「やーっと捕まえた」
三上先輩が塞いでしまったから。
1歩1歩ゆっくり三上先輩は俺の方へ向かって歩いてくる。
俺はそれに合わせて1歩ずつ後退していく。
ガシャン
フェンスに背中が当たった。もう逃げ場はないらしい。
その様子に三上先輩はにこりと笑い俺の目の前に立つ。
「俺のプリン食べただろう?」
そう。俺は部室の冷蔵庫に入ってる三上先輩のプリンを食べてしまった。
無性に甘いものが食べたくなったが、生憎財布を家に忘れてきてしまった。
俺はうなだれて飲み物を冷蔵庫の中に入れようと開けたらプリンが入っていた。
もちろん、蓋には三上と先輩の名前が書いてあった。
食べ物には五月蝿い先輩のものだから食べてはいけないことは承知している。
が、人間の三大欲求には勝てなかった。食べてしまった。
空になった容器をどこに隠そうか考えている間に先輩が部室に来てしまい、今の状況に至る。
「部活終わりの楽しみにとっておいたのになんで食うかなぁお前は」
ぎりぎりと骨は悲鳴を上げる。
アイアンクローをかます三上先輩の顔はきっと笑顔だろう。ドSなだけあるし。
「痛いっ痛い、ごめんなさいって先輩!」
俺はアイアンクローをかましている先輩の手をどけようと必死になるがどいてくれない。
あまりにも痛いので涙がでてきた。
「っわりぃな」
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