今日は家庭科の調理実習。
年に4回ぐらいしかない楽しい授業の1つ。
本日作るものはロールケーキとミネストローネ。
5人1班でまたその中から3:2に分かれて作っていく。
「あっ青峰っちそれまだっスよ!」
「全部混ぜればいいんだろ?別にタイミングとかいいじゃねぇかよ」
「・・・黄瀬、青峰。お前らは洗い物だけしてろ」
案の定と言うかまるでお決まりのように俺と黄瀬と青峰は同じ班になった。
黄瀬と一緒になりたい女子が殺到し、青峰はあまりのガサツさに周りから嫌煙され、俺は誰からも班のお誘いがなく。
呆れた先生が組んだ結果がこれだ。
でも空き人数に2人いて、残りの2人は出席番号順の女子が2人組むことになった。
その残りの女子はクラスの女子の嫉妬の視線に屈することなく淡々とミネストローネを作っていく。
その肝っ玉な精神に俺は心の中で拍手をする。
ありがとう。そしてこんなヤツらと一緒の班ですまない、と謝ることも忘れず。
それよりも任されてるロールケーキだ。
せっかく頑張ってミネストローネを作ってもらっているのに失敗はできない。
メレンゲは体力有り余る青峰に任せ、黄瀬と俺でフルーツ切って小麦粉をふるっておこうと予定を立てていた。
が、青峰が先生の手本を無視しなんでも混ぜていこうとする。
黄瀬はそんな青峰を止めようとするが火に油状態。
結局俺が1人で作っているようなものだった。
「久遠お菓子作り手馴れてるっスね」
「そうでもない。見よう見まねだ」
人マネはお前も得意だろう?とメレンゲを作りながら黄瀬と話す。
最初はシャバシャバで真っ黄色だった卵は白っぽくもったりとしていく。
丸をかいて沈まないぐらいに泡立てたらふるっておいた小麦粉を入れる。
「黄瀬、その小麦粉をゆっくりこん中入れろ」
「はいっス」
小麦粉を入れたらダマにならないよう、せっかく泡立てた気泡を潰さないようにゴムベラでさっくり混ぜて天板に流しオーブンへ。
後は焼けるまでにフルーツ切って生クリームを泡立てるだけ。
1人シンクの前で機嫌悪そうに腕を組む青峰に生クリームと砂糖を入れたボウルを渡す。
「青峰。生クリーム泡出て欲しい・・・もう材料は入れたからただ泡立てるだけ」
「ったくしゃーねぇなぁ。それぐらいもできないのか久遠は」
「はいはい。お願いしますよ、青峰さん」
偉そうな態度でボウルを受け取る青峰。
でも表情はどことなく楽しそうで。
黄瀬と2人でそんな青峰の姿を見て笑う。
バナナ、イチゴ、キウイ、オレンジなど色とりどりのフルーツを刻んでいった。
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