「久々にあんだけ弾丸ラリーしたな・・・」
放課後。俺は黄瀬の試合の疲れを背負い込んだまま支部へと向かっている。
あの試合から青峰と黄瀬が必要以上に絡むようになって、学校で初めて誰かと昼食を共にした。
いつも1人だ、と2人に告げるときょとんとした顔でこちらを見てくるや否や「これから一緒に食べるっスー!」と黄瀬が抱きついてきた。
モデルだと知っておきながら蹴り飛ばしたのは内緒の話。
目的の場所にたどり着きドアを開け中に入る。
ガチャリ
そこには俺を呼び出したLock第一支部の支部長、群寺さんと兄貴がいた。
群寺さんは長めの髪をオールバック。人のことは言えないが目つきの悪くどこかのヤクザに間違えられてもおかしくはない。
「群寺さん何用事って・・・」
「おお。真白。いつものだ」
「え」
いつもの、と聞いて俺は元きた道を戻ろうとする。
しかし兄貴は俺の行動を読んでいたのか俺の腕を引っ張り群寺さんの元へ連れてこられる。
「諦めろ。逃げれるわけがないだろう?」
「だって1週間前にやったばかりじゃん」
「週1。それが約束だろう、真白」
そう。俺は週1でLock直属の病院にてあらゆる検査を受けている。
別に体が弱いとかそういう訳ではない。
理由はいくつか。
兄貴に起きた加年停止(エンドレス)が俺にも起きるのか、
または起きたとき、なんらかのサインが起きるのか。
SPI能力のイレギュラー、などお偉いさんから見れば兄貴以上に俺は研究対象として興味深いようで。
「俺、病院も検査も嫌いなんだけど」
「その言葉は何度も聞いた。時間が惜しい。行くぞ」
兄貴は掴んだ俺の腕そのままスタスタと来た道を歩いていく。
群寺は「いってこい」と俺に告げ、手元の資料に目を移した。
「別にしなくていいと思うんだけど」
病院までの道、駄々こねた子供のように俺は兄貴に色んな言葉で拒否を伝える。
でも兄貴はまったく聞く耳も持たず、ポーカーフェイスのまま歩いていく。
「なぁ、兄貴。このまま家帰ろう?」
「痛いのはいったぁー!」
ガツンと脳内に直接痛みが加わる。
これは兄貴のPSI能力の1つ精神攻撃(ブロウ)
「五月蝿い。さっさと終わらせればいいだけの話だ。待っててやるから行ってこい」
「約束だからな」
痛みで若干涙目になりながら目的の病院につき、兄貴と分かれる。
今から始まる検査のラッシュに1つため息を付いて病院に入った。
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