Anther Side

「久遠!?」


青峰は自分の方に倒れる真白を受け止める。

真白の顔は血の気が引き真っ白。

まるで自分の代わりに死んでしまったのではないかと青峰は思った。

赤司は青峰のもとへ駆け寄る。


「大輝無事か?」

「ああ。俺は全然痛くもねぇ。血どころか傷も消えてる。それよりも久遠だ!」

「白ちん・・・?」


紫原は真白の体を揺らす。

しかし反応はない。

緑間は真白の脈と呼吸を見るが何も異常はないと話す。


「どうしたんでしょう、真白くん。まるで電池が切れたように」

「大輝の体に何かをしていてそれが原因なのは分かるが手がかりが少なすぎる」

「とっとりあえず2人を病院へ!」


6人はただただ焦るのみ。

何故青峰の怪我が治ったのか、何故真白は倒れてしまったのか。

下手に病院にも行けずただそこに立ち尽くす他になかった。


「その必要はない」

「誰だっ」


公園の入り口付近から聞こえる声に赤司は振り向く。

そこには真白の兄である青と上司の群寺が立っていた。


「貴方たちは誰ですか。申し訳ないんですけど今立て込んでいるんです」

「俺たちはそこで寝てるヤツの知り合いだ。真白を渡してもらおう」


青はツカツカと赤司たちの元へ歩いていく。

青峰は青に渡すまいとギュっと強く握り締める。

紫原と黄瀬は青峰の前に立ち盾になる。


「証拠もないのにそう易々と渡すとも?」


赤司は青を睨む。


「・・・俺は真白の兄だ。久遠青という。そこにいるのは群寺と言って俺の上司に当たる。これで満足か?」

「もう1つ僕から。真白くんを連れてどこへ行くんですか?」

「病院へ行く。それだけだ」

「その病院に僕たちを同行させる事が条件でお渡しします」

「・・・だそうだ、群寺」


青は群寺に背を向けて言う。

群寺は1つため息を付きしょうがない、と呟いて公園の脇に停めてある車へと向かう。


「車は4人乗りだからお前らは乗せられん。○○病院へ来い」


青は青峰から真白を預かると自分とさほど変わらない体を横抱きして群寺の待つ車へと向かって行った。

その様子を6人は消えていくまで見つめ、指定された病院へと駆け足で向かった。





(そういえば何も知らない、彼の事)

(どこに住んでいるのかも家族の事も好きなものも嫌いなものも)

(今はとりあえず彼が無事である事を祈るしかない)

(僕たちは無力でちっぽけな人間なんだ)




だから早く目を覚まして教えて、君の事














 




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