「あっ!それ俺の豚玉!」

「はっ。お前のならちゃんと名前書いとけよ、なぁ。久遠」

「知らない。食事中なんだから少しボリューム落とせ、青峰」


場所は変わってお好み屋。

1店舗貸切で始まった戦場ともいえるこの状態。

4人がけのテーブルは黄瀬と青峰、そして俺。あとの4人は隣テーブルに腰をかけていた。

赤司確実に俺に全部おしつけただろう。

運動部の胃を侮るなかれ。

そう再確認させられるお好み焼きの量。

鉄板には4枚すでに焼かれていて、机の端にまだあと5枚分のボウルが用意されている。

テツは見るだけでおなかいっぱい、と言わんばかりの視線。

青峰と黄瀬はガツガツ食べていた。


「ほら、久遠も食えよ。うめぇぜ豚玉」

「だからそれ俺のって言ってるじゃないっスか!久遠これどうです?海鮮玉」

「あっ黄瀬俺の・・・!」


ヘラによるお好み焼きの攻防。

俺は箸に手をつけられずただ呆然と見ていた。


「ご苦労様です。これよかったらどうぞ。ミックス玉です」

「ありがとう黒子。ついでに席変わってくれないか」

「それはお断りします。あの2人を止められるのは赤司くんか真白くんしかいませんから」

「じゃあ赤司が・・・!」

「僕は嫌だよ。ゆっくり食事したいじゃないか」

「だよな。お前はそんなヤツだよ」


心で泣きながらこの攻防が早く終わればいいのにって思う。

俺もお腹はすいたし、早く食べないと時間が来てしまう。

ちょこちょこと黒子の席からお好み焼きをもらうが鉄板から熱々のを食べるのも醍醐味だと思ってる俺としては悲しい。


「だから・・・!」

「青峰、黄瀬。おとなしくしろ。俺食えないんだけど」


最後の1枚に俺はヘラを突きつける。

黄瀬と青峰はごめんなさい、と反省し店の店員にまた注文を始めた。

俺はその1枚をようやく食べる事ができただけで満足だった。












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