「はぁー着いたっスねぇー!駅めっちゃ綺麗!」
「ねぇ、緑ちん。八つ橋シュークリームとかおいしそうじゃない?」
「食べるのはまだだぞ。紫原」
「京都の女子結構おっぱいでけぇのな」
「・・・黒子。俺もう先生と回っていい?」
「ダメです。まだ始まってすらいないじゃないですか」
「ほら。さっさと行くぞ」
今日1日は京都での自由行動。
清水寺、金閣寺、銀閣寺、東本願寺、東福寺、天龍寺、平等院。
このお寺の内2つ以上回れれば後は何したって構わないとのこと。
俺らはここから近い東本願寺と金閣寺、清水寺へと行くことになっている。
京都駅から数十分歩いて見える東本願寺。
門の近くに鳩豆が1袋100円で売っていた。
「ねぇ、鳩に餌やりができるらしいっスよ!」
「俺はしないのだよ。今日は動物に関わるなとおは朝が言っていた」
「じゃあ黄ちん俺とエサやりしよー」
黄瀬と紫原はおっちゃんに100円を渡し鳩豆を買う。
そのまま門をくぐり抜けて袋を開けた。
「ぎゃー!!!!」
「わっ何コイツら」
まさかの悲鳴で慌てて行ってみると鳩がまるで肉食獣のような目でこちらを見ていた。
こっちというか、黄瀬と紫原の豆?
クルックーと1匹の鳩が声をかけた瞬間鳩が一斉にやってくる。
豆を持っている黄瀬と紫原は攻撃されるのは分かるが、その鳩の攻撃は俺たちにもやってきた。
「なんだコイツらは!くそ痛ぇ・・・」
「だから言ったのだよ!おは朝の言うとおりだった!」
「赤司くん。なんとかできないんですかっ」
「僕が何かできると思っているのかい?」
はぁ、と赤司はため息をつき懐に忍ばしている鋏を手に鳩に言う。
「これ以上攻撃するとお前たちの羽刈るよ」
一斉に攻撃していた鳩が飛び立っていった。
流石、赤司。暴君と呼ばれるだけある。
「うわあああん。赤司っちありがとうー!」
「あー怖かった。ひねり潰すにも数が多すぎてどうしようかと思ったよ」
黄瀬と紫原は赤司にすがりつく。
まああんだけの鳩に襲われるなんて人生でも1回もなさそうな体験だったろうし。
「それよりもどうして真白はそんな平然とした顔でいれるんだい?」
「だってこの時間に餌やりするとこうなるって知ってたし」
そう。俺は知っていた。
以前に1人で京都に行った時に襲われている中学生を見たのだ。
ちょうどこの時間に。
「えー!じゃあ止めてくれたっていいじゃないっスか!」
「そうだよー白ちん!」
「だっていい思い出だろ?これも。よかったじゃないか。感想文に鳩に襲われましたって書けるだろ」
うぐっと黄瀬と紫原は口ごもる。
「にしてもせめて僕たちに一言言ってもよかったんじゃない?」
「おかげで散々な目にあったのだよ」
「で、覚悟できてるか?久遠」
「さてどうしましょうか?真白くん」
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