「寂しいなら俺が居るって言ったのになぁ・・・ホント猫は気まぐれだから困るなぁっ!」
灰崎は俺の首を絞めたまま俺の体を校舎の壁へ押し付ける。
数cm宙に浮く。
酸素が頭に回らなくなり意識が朦朧としてきたころに灰崎は俺の首から手を離す。
「ごほっ・・・げほっ・・・」
一気に酸素が入ってきて肺が痛い。
ヒューヒュー喉が鳴る。
声はかすれかすれでしかでない。
「な、なに・・・しやがるっ」
「別に?野良猫で遊んでるだけだ」
灰崎はしゃがんで俺の目線に合わせる。
頬に冷たい手が触れる。
「前は俺の事怖がんなかったのになぁ、真白。やっぱりアイツらに感化されたかぁ?」
頬を触る灰崎を手をどかし、睨む。
灰崎はふうんと何か企んでいるような笑みを浮かべ顔を近づける。
1cm、2cm、3cm、どんどん近づいていき鼻と鼻が触れ合う。
互いの息が顔にかかる。
灰崎の瞳孔に俺が写っているのが見える。
「でもその目は健在だな。それだけでも分かっただけでもここに来た甲斐があったぜ」
灰崎は顔を離し立ち上がる。
「お前の中にアイツらが組み込まれてる事もよく分かった・・・だから、」
お前をアイツらから奪ってもいいよなぁ?
そう言い残し灰崎は去っていった。
俺は立ち上がることもできず、灰崎が去っていった方を見続ける事しかできなかった。
(アイツを最初に見つけたのは俺だ)
(後々出てきたヤツらなんかに懐柔されるだなんて許せねえ)
(アイツは誰にも寄せ付けないただの野良猫でいればいい)
人に飼いならされていく野良猫なんて見たくない
伸び悩む身長、成長していく周りに焦るばかり。身体測定成分どこ消えたし。
灰崎くんとは入学当時からの知り合いで真白くんのことを懐かない野良猫だと思ってます。
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