「おいおい。聞いたか?隣のクラスの紫原2m越えだとよ」
「マジかよ・・・。でも緑間も190ぐらい行ったって聞いたぞ」
身長測り終えた生徒が次々と別の場所へ移動する間に聞こえる話し声。
「・・・なぁアイツ等どうすれば身長縮むかなぁ」
「きっと膝ぐらいまで切り落とせばいいと思いますよ」
「あーいいかもな。確か鉈を学校のどこかで見たからそれ使うか」
「お手伝いします」
傍から見て恐ろしい話を黒子と真剣に話す。
身長というのは男にとってはそれだけ大事なわけだ。
特にバスケとか体格・・・身長の1cmでも違ってくるわけだから。
でも話して身長が伸びるわけでもなく。
俺と黒子は同じタイミングでため息をついて別れた。
来た場所は中庭。
緑間に会って以来俺はここには訪れなくなった。
理由は簡単。
青峰と黄瀬が飯を一緒に食うように誘ってくるようになったからだった。
初めは2人はそそくさと教室を出て行っていたが、ある日黄瀬から誰と一緒に食べてるのかと聞かれた。
俺は一人で中庭で食ってることが多い、と言うと黄瀬は血相を変えて「ひとり飯なんて美味しくないっスよ!俺たちと食べよう!」と強引に連れて行かれるようになった。
最初は断っていたがあの犬は諦めなかった。
青峰までも味方に付け最終的に俵抱きされて連れて行かれた事もしばしば。
でも、アイツらなりの優しさからなのかしばらくは3人で空き教室で食べた。
3人で食べる事が習慣になってきたころに黒子が、部活に顔出した時から紫原が、そしていつの間にか桃井も含めて8人で食べる事が日常になっていた。
「俺も丸くなったなぁ・・・」
「本当にな」
大きな俺の独り言に返事が帰って来た。
ふと声がした方に振り向いてみると灰色の短い髪をなびかせガムを噛んでいる男・・・灰崎がいた。
「久しぶりだなぁ。真白」
「そうだな。お前とはここでしか会わないからな」
「見ないうちに丸くなっちまって。ククッ。お前の誰にもなびかない野良猫のような目気に入ってたのによぉ」
いつの間にか飼い猫のように腑抜けになっちまって。
そう灰崎は言い放ち俺の首を絞める。
「グッ・・・」
「聞くとあのバスケ部共と仲良くなったらしいじゃねぇか。いただけねぇなぁ」
ギリギリと灰崎は首を絞める力を強くする。
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