桃井さんは長い髪を1つにまとめて、よし!と意気込む。

4つの袋を持って1歩歩くがすぐに荷物を降ろした。

1人で持つには流石に重たいだろう。


「ほら、貸して」

「えっ・・・でも」

「いいから」


俺はカバンを肩にかけ、袋を3つ持つ。

うっこれは男の俺でも重たい。

それを1人で持って帰らそうとしていた青峰は正真正銘のグズだと俺は理解した。

1歩歩くたびに重さが体全体に襲いかかって今にも落としそうだ。

しかし俺も立派な男だからそんな恥ずかしい姿を桃井さんには見られたくない。

俺は袋に視線を集中させて念力・念動作用(キング)を使い、少しだけ袋を浮かせる。

あくまで自然に持っているかのようなところまで。

集中力はいるがこれで重さの3分の2は軽減された。


「さ、学校へ帰ろう」

「う、うん。でもいいの?久遠くん帰るところよね?」


桃井さんはバツが悪そうに呟く。


「帰ったって今日は何もすることがないから別にいい。とりあえずコイツらを学校に持っていこう」


ついでに桃井さんを置いていった青峰を殴らないと気がすまないしな、と俺が言うと桃井さんはそうね、大ちゃん見てろよー!と荷物を持っていない方の手を拳に変え天高く振り上げる。

桃井さんはどうやら勇ましい女性のようだ。

さつき、と呼ばれる女性は皆そうなのだろうか。

1つ年下のショートヘアーの少女を思い出す。


「でも本当にありがとうね。久遠くんの噂は聞いてたけど実際に本人にあってようやくわかったよ」


桃井さんはえへへと笑う。

噂・・・どうせいつものだろう。

来た道を桃井さんと話しながら歩く。

道行く人は俺たちを変な目で見てくる。

まあ100%俺の顔にあるだろう。

変な買い物に桃井さんを付き合わせている、なんて思われているのだろうか。


「別に。どんな噂を立てられようが俺の知ったこっちゃない」

「ふふふ。久遠くんってテツくんとはまた違う意味でクールでカッコイイね。確かにきーちゃんや大ちゃんがバスケ部に入れたがってる理由がわかる気がするわ」

「そりゃどーも。てかまだアイツら言ってるのか。赤司にも言ったが俺は部活には入らないぞ」

「知ってるよ。文芸部に幽霊部員として入って帰ってるんでしょ? 」


私が調べられないことなんてないんだから!と意気込む桃井さんは少し怖かった。

情報操作はしてあるとは言え最初にバレるのはアイツらじゃなくて桃井さんじゃないのか、と内心焦る。


「でもきーちゃんたち以外と仲良くなった大ちゃん見てて貴方が入ってくれたら、って何度か思った事はあるのよ。ほら、久遠くんほどじゃないけど大ちゃんも人から勘違いされることはあるから」

「・・・正直俺は青峰たちと仲良くなった覚えはない。でもクラスメイトとして不快ではない」

「ふーん。男の子の友情とか私にはよく分かんないけど女の子の私から見るとじゅーぶん仲がいいわ」


















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