赤司から借りたバッシュや服は怖いぐらいにサイズがぴったりだった。

まるで自分のサイズをあらかじめ知っていて置いてあったかのような。

軽く準備運動をして赤司に導かれコートへと入っていく。


「ちょっと彼もゲームに混ざることになったからよろしく」

「・・・お願いします」


赤司の発言にコート内、体育館全体がざわめき始めた。

それもそのはずバスケ部でもない部外者の人間をいきなり1軍のゲームへ招くなど勝手にするにもいいところ。

先輩であろう人から睨みつけられたり、「ふざけるなよ」などと罵声を浴びせられる。

分かっていた事だが、ここまであからさまだと悲しいを通り越して呆れ果てる。

こんな事で大会前の部活内の士気も落としたくはない。

俺はため息をついて赤司に辞めることを伝えようとした。


「皆・・・僕の命令に楯突く気かい?」


ニコリと笑う赤司の一言で周りのざわめきが静かになった。

睨みつけてた同級生も罵声を浴びせてた先輩たちも顔を真っ青にして立ち尽くしている。

王者、覇者、暴君、絶対政治。

赤司については青峰や黄瀬、あと風の噂で耳にしているがここまでとは。


「という訳で彼には真太郎のチームに入ってもらうよ」


何がという訳だ。

まるでさっきまでの事がなかったかのように話を進める赤司に俺は恐怖を覚えた。

赤司は俺の背中を押し緑間の元へと向かわせる。


「お前はこの前の・・・」

「ああ。お前バスケ部だったんだな」

「バスケできるのか?」

「人並みには?ただ赤司が言うものだから断れなくて」


俺は思わず苦笑いを浮かべる。

緑間はふん、と眼鏡のブリッチを上げて俺に背を向ける。


「別にどうだっていいのだよ。ただ俺の足手まといにだけはなるな」

「了解した」


試合開始の笛が鳴る。







 




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