「いつもここで練習してるのか?」
「んーまあ時間が空いてたらな。シュート練習なんかは集中力や緊張感を高めるのにもいいし」
と、真白はタオルで汗を丁寧に拭き取りながら言う。
青峰はふーんと聞き流し足元に転がるボールを拾い上げ真白の元へ投げた。
「ついでだ。1on1に付き合えよ」
青峰は来ていたジャケットを脱ぎ捨てる。
「やってもいいけど俺素人だしお前についていけるかな・・・」
「やる前から諦めんのかよ」
「まさか。やるぞ。ただし遅いから1回だけな?」
「上等」
DF真白、OF青峰で始まった1on1。
身長差が30cm近くある青峰を止めるのは真白にとっては至難の業だったが身軽な体とトレーニングで磨いてる瞬発力、ジャンプ力で青峰のダンクを止める。
青峰は以前の体育の授業でできなかった試合の興奮を取り戻すかのように楽しみながら攻撃していく。
「はっあめぇよ」
ガコン
「はぁはぁ・・・くっそ」
真白の検討むなしく最後は青峰の力強いダンクで決まってしまった。
もうちょっと柔軟性が必要か。むしろ身長か・・・と頭の中で今回の事をすぐさま反省を始める。
せっかく汗を拭いたにも関わらず、汗が地面に滴り落ちる。
「やっぱお前とやるの楽しいわ。興奮する」
「あっそ。俺はごめんだね。やっぱ30cmはきついわ」
「お前もテツも身長低いからなぁ〜」
ハハハと青峰は笑いながら真白の頭をポンポンと叩く。
これ以上低くさせる気かよ、と真白は青峰の手を叩き落すが青峰はその手を止めない。
気を悪くしたのか真白はバスケットボールとタオルを掴み帰ろうとする。
「今度やるときは絶対に勝つ」
「おー楽しみにしてるぜ?そんときまでに10cmぐらい身長伸びてるといいな」
「腹立つ。アホ峰のくせに」
真白はそう言い放ち走ってストバス場を後にする。
残された青峰は叩かれた手をじっと見つめグーパーと繰り返す。
「だからバスケはやめられねぇ」
もう一度真白が出て行った方を見つめ、脱ぎ捨てたジャケットとコンビニの袋を手に持ち青峰は家へと帰っていった。
(アイツとバスケしてぇわ)
(ストバス場に毎日行ってみっか)
それから毎日ストバス場へ通う青峰が見られるのは別の話。
偶然を装って真白とバスケをします。
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