||| plus alpha



黄瀬くんに連れられて来た場所は中庭。

そこには赤、青、緑、紫のカラフルな頭の生徒たちが座っていた。


「遅れてすみませ〜ん」

「遅いぞ、涼太。いま何時だと思っ・・・」

「時間厳守なのだ・・・よ」

「おっそーい!って燐ちん?」

「あ?」


ワイワイ雑談してる中に俺が入ってきたのが原因か皆が固まる。

俺なんかしたかな?

少し様子を伺っていると赤い髪の生徒はプルプル震えて僕に抱きつく。


「水無月さんですね。いつも美味しいご飯ありがとうございます」

「ああ。うん。伊月くんたちに頼まれてるから。お口にあってよかったよ」

「この前のカボチャの茶巾ちょー美味しかった!もう一回作って、燐ちん」

「煮物の味付けが母と似ていたのだよ。いつも美味しいです」

「あーアンタか。いつもありがと」

「えっとぉ・・・どういたしまして」


あまりにも直球すぎる言葉に俺は少しむず痒くなり鼻のてっぺんを掻きながらお礼を伝える。

いつも綺麗になくなっているお重を見て食べてくれてる、という確認はできても皆の感想を聞けてないから不安だった。

でも、今日聞けて俺の胸の中にあった不安は消えた。


「ちょうどいい。今からお茶しに行く予定なんです。水無月さんもどうですか?」

「えっ俺は夕飯の支度があるから遠慮するよ。お腹を空かせてる食べ盛りの子がたくさんいるし」

「どうせ火神だろ?アイツ自分で作れるからいいじゃねーかよ。たまには羽を伸ばそうぜ」

「たまにの息抜きも必要なのだよ」

「水無月さん行きましょうっス」


どうしよう・・・と焦っていたところに誠凛寮の皆が来て、2年生はすぐさま彼らと僕の間に割り込み、1年生は僕の腰にしがみついた。

なんでも早めに帰ってきていた木吉くんと伊月くんが俺がいない事を皆に知らせていたらしい。

ちょっとの気の緩みでここまで大事になってしまった事に申し訳なさを感じて、今日の夕ご飯は1品ずつ皆の好きなものを作ってあげた。


「ちっあともうちょっとだったのに」

「もー黒ちんたち早すぎるよぉ〜」

「計画を練り直す必要があるな」

「思ったより誠凛寮の人って独占欲強いっスね」

「まったくだ」


残された彼らは打倒誠凛寮を掲げてすぐに俺の元に現れたのは2、3日後。



Dec 02, 2012 04:27
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