||| plus alpha



ゼロ Side

親友ルルーシュの墓に手を合わせている青年。

悪帝と歴史に刻まれた男の墓に来る人はごくわずか。

妹であるナナリーやかつて仲間だった紅月カレンぐらいだろう。

たまに人の目を盗んで自分も行くぐらいだった。


「天国でゆるりと過ごして欲しい、と祈っただけです」

「ゆるりと、ですか」

「ええ。彼は短い生涯を波乱万丈に生きた。幼い頃からずっと憎しみと理想を追い求めて生きて、そして憎しみを背負って死んでいったヤツだから」


彼が墓標を愛おしそうに撫でる。

彼もまたルルーシュと親友だった。スザク、とも仲のいい友であり兄だった。


「もう苦しむことも誰かを思って泣くことも憎むこともない。せめて天国ではってね」


彼はハハハと照れくさそうに笑う。

そんな風に思われているルルーシュが羨ましい。


「あともう1人眠っているヤツがいるんだ。スザクって言うんだけど俺の弟でさ。これまた頑固者でね。でも優しい男だった」


思考がストップする。

手が震える。


「スザクは親友思いの優しい子だ。今も偽りの仮面を被り生きている。それが世界が渡した2人への業で、その事で世界が幸せならば俺はそんな2人を温かく包み込む事しかできない」


俺は2人の兄で、守ってやる立場なのに逆に守られているんだと力なく笑う。

その場にいるのが怖くなって踵を返して帰ろうとする。


「スザク」


もう呼ばれることはないはずの己の名前。

本当は振り向いて抱きしめたい。抱きしめて大きな胸で泣き笑い合いたい。

しかしそれをすることによりルルーシュを、ギアスを裏切ることになる。

拳を強く握り締め歩み始める。

ありがとう、兄さん。貴方が思ってくれているだけで、それで十分です。


「神様・・・ルルーシュとスザクを許してください。20も生きていない彼らにどうしてそんなにも罰を与えるのですか?」



言葉は風に流されていった。






Nov 21, 2012 22:16
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