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「セルティさん。ただいま帰りました」

「おっ邪魔しまーす!」

【お帰り、帝人!いらっしゃい、水無月くん】


セルティさんはエプロンをつけてバタバタと忙しそうに何かを作っていた。

帝人と顔を見合わせて台所へ向かうとそこには様々な形をしているクッキーがあった。


「うわぁー!うまそう!」

「これセルティさんが?」

【あ、あああそ、そうだ!本当は2人が帰って来る前に出来上がってる予定だったんだが】


予想以上にクッキー生地が出来たらしく型を抜くので精一杯だったらしい。

まだオーブンはフル稼働中で、あと2枚の天板が焼ける準備して待っていた。

メガネ、リボン、雲、王冠、猫の形をしたプレーンの生地とココア生地でできたクッキーが籠の中に置かれている。

焼きたて独特の甘い香りが漂う。

つまみ食いしようかと思って手を伸ばすと帝人に手を叩かれた。


「いって!何すんだっ!」

「これは皆で出来上がってから食べるんだから。今食べちゃダメ」

「わぁかったよ!」


セルティさんはクスクス俺たちの事を見て笑う。

チーンとオーブンの音が聞こえて熱い天板を出して、すぐにもう2枚入れる。

後10分で食べれるかと思うと胸がワクワクしてきていてもたってもいられなくなった。


「な、帝人。今のうちに机準備しよーぜ」

【そうしてもらうと助かるよ!後もう少ししたら新羅も戻ってくるし!】

「ん〜分かったよ。じゃ燐はそっちからティーカップ出してきて。僕はお皿出すから」

「あいよ!」


ただのガラスのテーブルだと味気ないとセルティさんがお気に入りの布を敷いてテーブルクロスに見立て、その上にとりわけ用の皿と四葉のクローバーの柄の入ったティーカップを人数分置く。

紅茶を蒸している間にクッキーが焼けて籠に詰めた所で新羅さんが帰ってきた。


「たっだいま〜!セルティ!帝人くん!」

「おかえりなさい、新羅さん」

【おかえり、新羅】

「お邪魔してます」


新羅さんはいつもと違う雰囲気とセルティーさんの手作りクッキーと聞いて涙ぐむ。

「おいしい!クッキー美味しいよぉ〜!」


セルティさんはそんな新羅さんの様子を見て涙ぐんで帝人を抱きしめる。

俺は帝人とセルティさんたち夫婦を見るのが一番好きだ。

心があったまると言うか幸せな気持ちにさせてくれる。


「帝人はいいなぁ〜」

「いきなりどうしたの。突然だなぁ」

「だってこんな素敵な夫婦の間で育ったなんてさ!」

「新羅さんとセルティさんは僕の自慢の両親だもの。当たり前じゃん」

「言ったな!コイツ!」


焼きたての香ばしいサクサククッキーの甘さは目の前の家族には負けてしまうらしい。

新羅さんに「水無月くんも僕たちの子供同然なんだからっ!」って抱きつかれたのはここから数分後の話だ。



Dec 13, 2012 18:38
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