||| plus alpha 「どうしたんだい。今日上の空じゃないか」 「・・・なんでもないよ」 買い物疲れで近くの喫茶店に入った俺たち。 氷室をなんとなく視界に入れたくなくって窓の外の風景を見ながらコーヒーを一口飲む。 街はクリスマス一色になっていて男女カップルが腕を組んで歩いていたり、女子高校生が彼氏のためのプレゼントを真剣に悩んでいる姿が見える。 「もうそろそろでクリスマスだね、燐」 「そうだな。今年は紫原いるし賑やかだろうな」 お菓子を喜んで貪る大きな後輩を思い出す。 ケーキは1つ頼むだけじゃ足りないだろうねと氷室も笑う。 「そうだ。燐に早めのクリスマスプレゼント。受け取ってくれる?」 「これ・・・」 小さな箱には白っぽい青色の石、オパールが小さくあしらってあるシルバーリング。 「僕この指輪に誓って燐を大事にする。だから、」 「バカ野郎。言ってる意味わかってるのか」 思わず言葉を途切れさせる。 欲しかった言葉。だけど聞いてしまったら後戻りはできない。 俺はまだしも氷室はまだ、あるのに。 「バカなのは燐だろ。俺は愛してるからこうやって燐と一緒にいるんだ。もう迷いだってありはしない」 だから受け取って?と俺の左手の薬指に指輪を通す。 キラリとオパールが光った。 「俺、一緒にいても生産性ないよ?あんな素敵な結婚式だって開けない」 「大丈夫。アメリカへ行って開けばいい。子供だって養子縁組を組めばいいだから、」 結婚してください。 そう氷室はまっすぐ俺に伝える。 俺は涙を流しながらはい、と答えた。 Dec 11, 2012 19:28 browser-back please. |