||| plus alpha




現実逃避をしていると赤司から事の説明が始まった。

桃井のクッキーを(無理やり)食べたらこうなったという事。

この状態で帰れるほど肝が据わっていない事。

その2つは分かったが何故俺を呼んだ。

俺は超能力者ではあるがコイツらの猫耳を取る事はできない。

それよりも事の発起人の桃井から聞くのが一番じゃないのかと言うが赤司はただ横に首を振るばかり。


「ねー。この耳フサフサなんだよー。可愛くない?」

「可愛い、可愛い。だから抱きしめるな、重い」

「紫原っちだけずるいっス!」


猫耳生えたコイツらはやたら俺に構い出す。

尻尾を俺の体にスルスル擦り付け、擽ったい。

が、次の瞬間すっとそんな擽ったさや重みから救出される。


「お前ら久遠が苦しがってるのだよ。離してやれ」

「とか言ってるミドちんも尻尾揺れてるよ〜?構って欲しいんでしょ?」

「なっ何の事か分からないのだよ!」


ツンデレだなぁと青峰はニヤニヤ笑う。


「とりあえずお前ら邪魔。そんなくだらない事だったら帰りたいんだけど」

「くだらなくなんかないさ。真白イイもの持ってるだろ?」

「イイものって・・・」


ゴソリとポケットの中に入っているマタタビ。

緑間から俺の星座のラッキーアイテムだと言われて押し付けられたヤツだ。

まさかコイツらマタタビで酔って・・・!?


「こっこれが欲しいならやるよ。ほらっ」


ポンと赤司の前にマタタビを投げる。

しかし赤司はそのマタタビに興味がないように足で蹴飛ばす。


「僕たちは本物の猫じゃないんだからマタタビなんか欲しくないよ。欲しいのは・・・」


黒子が俺の腰を後ろから掴む。

ゆらゆらとゆっくり皆が俺の方に近づいてくる。

なんだよ、コイツら。

俺のポケットの中には携帯かマタタビしかないのに。


「ひっ!」

「あ、すみません。びっくりさせてしまいました」


ヌルっと黒子の冷たい手が直接俺の横腹を触る。


「ったく、テツは見た目によらず狼だよな」

「俺も真白っちに触るっスー!」


12本の手が俺に襲いかかってくる。

逃げようと思っても黒子がしっかり掴んでいて、遠隔移動(テレポーテーション)も集中ができないから使えなくて。

着ていた制服が横で散らばるのを横目で見ながら俺は太ももにまとわりつく尻尾の柔らかさにこれが夢であればいいのにと願うしかなかった。


「僕たちにとって真白自身がマタタビだからこんなまがい物はいらないんだよ」


赤司は蹴飛ばしたマタタビを見ながら呟いた。




Dec 09, 2012 00:14
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