最高のカテキョ

「宮地、できんかった」

「ほう…じゃあ轢く」

ゴォォォォとどす黒い笑みで、宮地に頭を握り潰された。
みょうじなまえ、成り行きで、宮地に勉強を教えてもらうことになりました。

Do not know spring is coming

宮地の教え方は、スパルタだった。
泣く子も大号泣の鬼軍曹っぷりだった。

「じゃあ、この問題は解けるだろ」

「…宮地ヒント」

「…挽くぞ」

「それ、絶対ミンチの方だよね?」

目の前には、宮地が作成した問題が5問。数学のクセにアルファベット使うとか数学ではない。
YやXを一体どうして計算するのか…。

「分かんないのはどの辺りだ?」

「このXが一体なんなのか…」

「舐めてんのか?」

でたよー宮地スマイル。笑ってるけど、目が笑っていない奴。あと口元がピキピキしてる。
宮地は深い溜息を吐いて、Xについて熱く語り始めた。





「なんとなく、解けた」

「採点する。寄越せ」

宮地に回答を渡すと、手元にあった赤ペンでスラスラと採点を始めた。
1、2問目は、問題なく丸。3問目は、バツ。その際、宮地にギロっと睨まれた。
4、5問目は、宮地は悩んで丸を付けてくれた。

「解説すっと、3問目はケアレスミスな。ここの代入が…」

回答に宮地大先生による、赤ペンでの解説が始まった。3問目は初歩的なミスだった。
宮地は絶対ミスする前提で出題したらしい。なんと、卑劣!

「問題は5問目かな。回答は合っているけど計算がダメダメ。模試はマークシートだから間の計算は不要だけどな、数学のハッシーは間の計算でミスがあったら容赦なくバツ付けるから気をつけろよ」

宮地は、解説を終えると、深い溜息を吐いた。
ああ、また私やらかしたのかとビクビクしていると、宮地の大きい手が私の頭をポンポンと軽く叩いた。
それは、普段の拳骨やマッシャー(頭を握りつぶすアレ)とは違う、なんか優しいヤツ。

「まっ、上出来だな。この調子で頑張っていこうか」

あの真っ黒な笑顔じゃなくて、爽やかな笑顔を向けられて、なぜか知らないけど恥ずかしくなった。
と言うか、宮地ってあんな爽やかに笑うのか。胸の高鳴りが止まらず、胸の辺りをきゅっと握りしめると、上から返事はと言われ、「は、はあああい!」と間抜けな返事をした瞬間、宮地の爽やかな笑顔は黒く染まった。

「返事ははっきりハキハキとだろ?調子乗るなよ?潰すぞ?」

頭がキリキリと締められて、結局は宮地のマッシャーを食らうのだった。

模試まであと10日。

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