D判定。
これが今の自分の実力なのは分かっている。
自分の身丈にあったレベルじゃないのも分かっている。
しかしながら、これは判定はあくまで模試試験。
本番ではないから本気を出す場所ではない。
分ってはいるけど…。
「何回見返しても変わんないよねぇ…」
私、みょうじなまえ。
高校3年9月。絶賛受験生なうである。
Do not know spring is coming!
「ねー模試の結果どうだった?」
「もー最悪」
「マジでー?私もさー今からだとランク下げるしかないのかな」
前の席の女の子達が今回の模試の結果についてヒソヒソと話し合っていた。
お互い最悪最悪と言う割には結果はまんざらでもないようで口元は二人とも笑っていた。
もう一度模試の結果をチラ見して、私は溜息を吐くことしかできなかった。
「うっわ・・・Dとかマジ引くわー」
振り返ると宮地が私の模試の結果をのぞき込んでいた。
宮地の声が大きいせいで、前の席の子達は私を一瞥するとD判定って、とヒソヒソと話始めた。悲しい。
「みょうじさー、国立コースだから志望校国立だよな」
「そうだけど・・・」
「お前、今の段階でDって志望校私大にするしかないだろ」
そんなことしたいのは山々だ。
我が家の経済事情から私大は行けない状態。
自然と手に力が入り、模試の結果がしわくちゃになっていく。
「宮地は・・・頭いいから大学選び放題だよね」
別に皮肉ではない。
それは、本当のことである。
宮地は全国区の部活に所属していて、皆がインターハイで引退している中、冬の大会に向けて、勉強と部活を両立している。
それでも、テストは上位で、今回の模試では成績優良者として名前が上がっていた。
「うるせえ、轢くぞ」
ゴチン、と割と女子に対して強めな拳骨を宮地から食らった。
あまりの痛さに、涙目で睨むと逆に睨み返された。
「お前さ、志望校。俺と一緒なんだな」
「え、宮地。そうなの?」
「俺もそこ」
そう言って見せられた模試の結果。
判定がAかBって…と、イイ意味で呆れてしまった。
「なあ、みょうじ。俺、お前に勉強を教えてやるよ」
「…は?」
「お前さ、文系は得意だけど数学で足引っ張ってるな。次の模試までにお前の判定Cまで上げてやるよ」
「……は?」
「いいか、俺が教えるんだから上がんなかったら………殺すからな」
「え、それ確定なの?」
なんか強引に話が進んでいき、宮地に勉強を教えてもらうことになりました。
次の模試まで、あと45日。