Congratulations on your graduation!

「オイ、高尾、みょうじ今すぐ離れろ。轢く」

「「宮地さああああん、卒業しないでえええええええ」」

3月、春の陽気は微塵も感じず、発達した低気圧の影響で凍えるような寒さだった。そんな今日は秀徳高校の卒業式。胸に白い造花を付けた宮地にバスケ部の後輩2人が抱き着いて泣き喚いていた。宮地は、迷惑な後輩、高尾とマネージャーのみょうじを引き剥がすが、それでも執拗に抱きついていた。

「宮地サン、俺のことは嫌いでも、真ちゃんのことは嫌いにならないでくださいっ!!」

「黙れ、高尾」

「緑間、お前も羨ましそうな顔してこっち見てねぇで、こいつら引き剥がせ」

「宮地さああああああああん」

「もうお前らうぜぇ!!!」

宮地は大事な卒業証書が入った丸筒で泣き喚く後輩二人の頭を容赦なく叩いた。痛そうに頭を抑える2人を見て、緑間は呆れたように溜息を吐いた。

「そう言えば宮地さん、ボタンどうしたんですか?」

みょうじは、ボタンが無く開放的になった宮地の学ランを見て不思議そうに訊いた。宮地は、眉を寄せて不機嫌そうに「奪われた」と答えた。

「宮地サン、俺に第二ボタンはー?」

「ねーよ!全部根こそぎ取られた」

そう言って、腕を曲げると袖口の小さなボタンも狩られていた。みょうじは落胆して崩れ落ちた。宮地はそんなみょうじを見て、呆れたように溜息を吐くと、みょうじに目線を合わせるようにしゃがんだ。

「みょうじ、手出せ」

涙目のみょうじは、少し顔が近い宮地にドキリとしながらおずおずと手を差し出すと、宮地はみょうじの手のひらに黄色に輝く小さなボタンを置いた。

「ほら、これお前の」

「宮地さああああん!!!」

みょうじは笑顔で宮地に抱きつくと、泣き叫びながら「ありがとうございます」と叫ぶと、宮地は顔を赤く染め「うるせぇ!」と、再び騒がしい後輩の頭を丸筒で叩いた。



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