空は灰色で湿度が高い。汗と湿気がまざり、セーラー服が体に貼りついて気持ち悪い。
昇降口をでて、右頬に冷たい感覚。雨が一粒、一粒降ってきて、あっという間に土砂降りになった。
「嘘でしょ…」
ま、ここ最近天気が怪しかったのもあるけど、クラスメイトの変人…じゃなくて緑間が「折り畳み傘を持ち歩くのだよ」と言われてたから折り畳み傘を持っていた。カバンから折りたたみ傘を取りだそうとカバンを開けようとしたとき、肩を叩かれ振り向くと、同じクラスの高尾が立っていた。
「すごい土砂降りだね」
「そーだね、これは部活休みで良かったなぁ」
「でもバスケ部って室内競技だよね」
「ハハッ、だよねー」
そう言ってへらっと笑う高尾は、相変わらず土砂降りの空を見てため息をついた。
「高尾、もしかして傘ないの?」
そう聞くと、高尾は驚いたように目を開くと大きく頷いた。
「マジ、なまえ。俺のこと知りすぎて怖い」
「いや、高尾って分かりやすいよ」
そう言うとカバンから折り畳み傘を取り出すと、高尾に「入る?」って聞くと、高尾はいつものへらへらした笑顔で頷いた。
「あ、俺持つよ」
開いた傘の柄ををまるで自然な動作で私の手から奪った。
吃驚してると、高尾は右手を私に差し出した。
「帰ろ!」