寝坊厳禁

珍しく休日が休みになったって宮地がデートに誘ってきた。デートとか久しぶりであまりにも嬉しさに、夜遅くまで一人ファッションショーをしていた結果が…。

「寝坊した!!」

これだよ!!手元にあった携帯は待ち合わせ時間をとっくに過ぎていた。そして、メールが1件と着信3件。恐る恐る、宮地から送られてきたメールを見た。

『5分以内に来なかったら、帰る』

受信時間と現在の時間を確認するとメールが届いた時間からもう10分経過している。絶対、宮地帰っちゃった。泣きそうになりながら支度をすると、携帯がピカピカ光りながら知らせてくる。どうせメルマガだろと、携帯を拾うとサブディスプレイには『着信 宮地清志』。

「も、もしもし」

「なまえ、今どこ?」

意外と声のトーンが普通だったから、安心したけど、声が少し低くなり、「俺、ずっと待ってたけど」と、言われ心にグサッと刺さった。

「ご、ごめん。寝坊して」

「ハハッ、お前らしいな」

宮地は受話器越しに笑うが、絶対引きつってる!

「あと10秒で家を出ろ」

「え、まだ着替えてるんだけど」

「じゅー、きゅー、はーち」

謎のカウントダウンが始まり、慌てて靴下を履くと、財布、ポーチをカバンに入れて部屋を飛び出した。

「ゼロ」

バン!と勢いよく玄関のドアを開けると、宮地がいた。

「うわ、髪の毛ボサボサ」

「誰のせいよ」

「寝坊したのは誰だー?俺はなんもしてないぞー?」

真っ黒な笑みを浮かべる宮地に、私は玄関前で土下座した。

「俺、別に気にしてないから」

「ほ、本当!?」

顔をあげると宮地が微笑んでいた。もしかして、今日は機嫌がいい?良かったー!と、ホッとしていると、宮地は私の頭を掴むと、ギュッと力を入れてきた。頭蓋骨が軋む音がした気がする。

「でも、30分の遅刻はねーよ」

「ご、ごめんなさあああああああい」

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