お誕生日おめでとうと伝える方法

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今日は1年で大事な日である。

私は、手鏡で前髪チェックして、意味もなく気合を入れて校門を抜けた。すると、近くにいた女子生徒達が、まるで狩りをする猟師のような鋭い視線を私に送ってきた。…今年もですか。

「なまえこれ宮地くんに渡して!」

「これ宮地先輩にお願いします!」

歩くたびに同学年や後輩から、宮地へのプレゼントが献上されていく。今年もかと思っていたけど、今年もだった。

今日は私の幼馴染の宮地清志君の18回目のお誕生日です。
宮地は、童顔で割と可愛い顔をしているけど、191cmと高身長で、勉強ができるし、スポーツ万能で非の打ち所がない。少し、口が悪いのが欠点だけど。そんな宮地は、モテる。男女問わずモテる。イケメン爆ぜろ。そして、宮地の幼馴染という美味しいポジション私は、自称シャイな女子生徒から、何かある度に宮地宛の宅配便としてこき使われている。今も私の両手はもうキャパシティオーバーで、積み上げられたプレゼントを落としそうになりながらも絶妙なバランスを保ちながら教室へと向かった。と言うか、両手塞がってるからドア開けれないんだけどね!



「何してんだよ」

教室のドアの前でどうやって開けるか思案してたら、朝練終わりの宮地が私のことを蔑むような目で見ていた。私は、ドアを開けれないことを言うと、宮地は「足で開ければ?」と、スラリと長い足でお行儀悪くドアを開けた。

「と言うか、これ宮地宛の荷物」

宮地にたくさんの女子生徒から送られた誕生日プレゼントを押し付けるように渡すと、私はスタスタと自分の席に座った。宮地が何か言いかけていたけど、タイミングよくチャイムが鳴ったお陰で、何も言われなかった。



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頼まれた誕生日プレゼントを宮地に渡す度に、宮地の機嫌がどんどん下がっていった。何かを言いかけるけど、結局舌打ちをして私を睨んできた。少し気になったけど、追求はしなかった。

そして、昼休み。またもや渡された大量の誕生日プレゼントを持って、宮地が自主練している体育館に向かった。

「私と付き合ってください」

部室棟付近の曲がり角の先では、大変気まずいことになっていた。微かに聞こえた声は、誰かに思いを伝える言葉だった。マジかよ、私はそこを通りたいのに。仕方ない、迂回しようと踵を返そうとした。

「ありがとな」

聞きなれた声が耳に貼り付いた。曲がり角から少し顔を出すと、そこにはミス秀徳にも選ばれるほどの美貌を持つバスケ部のマネージャーさんがいて、後ろ姿だけど見慣れた蜂蜜色の頭が見えて衝撃を受けた。今まで、宮地にプレゼントをあげていた子達は、どちらかと言うとアイドルに差し入れする感じで渡してたから、恋愛感情は薄いと思っていた。あと正直、幼馴染と言うポジションに胡座をかいていた。だから、照れたように頭を撫でる宮地を見て、金縛りに遭ったようにその場から動けなくなった。

「でもお前の気持ちには答えられないや」

宮地はそう言うと、申し訳なさそうに頭を下げた。マネージャーさんは、スカートを翻すと足早に去っていった。私はホッとすると、腕の力が少し抜けて、絶妙なバランスを保っていた宮地の誕生日プレゼント達は、音をたてて崩れていった。

「何してんだよ」

物音で気がついた宮地は不審そうに私を見つめた。私は、気まずくて顔を逸らすと、不意に頭を掴まれた。

「ハイハイ、覗きかー?悪趣味だなー?潰すぞ?」

「違う!偶然!あと頭がもう潰れてる!」

宮地の大きな手で掴まれている頭はギュッと力強く握り締められて、痛い。宮地は足元に転がる色とりどりにラッピングされたプレゼントを見て、ため息をついた。

「みょうじ、お前。これ何?」

「宮地ファンに頼まれた誕生日プレゼント」

「違う。この不自然に膨らんでるスカート」

そう言うと同時に、宮地は私のスカートのポケットに手を突っ込んだ。私は、「キャー変態!」と叫ぶが、昼休みで人気のない部室棟近くで誰も来ない。ポケットの奥底にあった何かを掴むと、私の抵抗虚しく宮地に奪われてしまった。

「で、これ何?」

宮地の手には、私のポケットに入っていた細長い白い箱が握られていた。私は観念して、肩を落とした。

「宮地、開けていいよ」

そう言うと、宮地は不審そうに白い箱を開けた。箱の中にはオレンジ色のシャーペンが入っていた。

「…これ」

センター試験を受ける宮地の為に、厳選して良いシャーペンを選んだ。オレンジなのは、秀徳のユニフォームの色もあるけど、宮地にはオレンジが似合う、と思う。

「他の子と比べたら地味かもしれないけど。一応、誕生日プレゼント」

恥ずかしくて顔面に熱がこみ上げてくる。宮地の顔が直視できなくて、つい顔を逸らしてしまった。

「サンキューな」

宮地は、ぽんと私の頭に軽く手を置くと、シャーペンを制服の胸ポケットに入れた。
背が高い宮地の耳元には届かないけど、少しでも近く伝えたくて頑張って背伸びをした。

「お誕生日おめでとう」

「さ、さっさと散らばったやつ拾え」

「うん!」

私は落としてしまったプレゼントの数々をにやけながら拾うと、先に進む宮地の後を追いかけた。

お誕生日おめでとう宮地!



「なんでさっきの告白断ったの?」

「うるせー、俺は推しメン以外興味ない」

(これは、これで強敵かも…)

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提出:みやたん!

簡単にあとがき
中身もオチも何もなくて本当に申し訳ないです。
あと、タイトルセンス本当になくてすみません…。
なんでそんなオシャンティーなタイトル思い浮かぶんですか…。

素敵な企画に参加できで良かったです。
主催のここ様と参加者の皆様お疲れ様でした。

ここまで読んで頂いてありがとうございました!

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