ヘリペリデスファイナンスから、ヒーロースーツ開発のオファーを受けて、日本から遠くのシュテルンビルトに単身で遣って来たのに…この企業のヒーロー、折紙サイクロンはヒーロー活動よりも、スポンサーロゴをアピールすることに執念を燃やしている。そして、そんな彼は重度の日本マニアだった。
目を輝かせて次々質問してくるイワンに苦笑いしつつ、答える。
「なまえさん!忍者は日本のヒーローですか?」
「もう忍者は数千年前に滅亡しました」
「なまえさん!京都に行けば芸者や舞妓はいますか?」
「重要文化財だからね。京都にいるよ」
歓喜の声を上げる折紙に苦笑いした。ニュースーツのデザイン案を聞いていたのに、いつの間にか日本の話になっていた。目を輝かせて子供のようにはしゃぐ彼を邪険に扱えず、頭を抱えた。
「本題に入るけど、スーツのデザイン案だけど、折紙サイクロンは何か要望ある?」
「あ、ヒーローネームじゃなくて、僕のことはイワンで良いですよ」
話が脱線して、また頭を抱えた。あなた、スーツについての話をしていたのに、なんで名前の話になるんだよ!つーか本名をホイホイ教えて良いのかよ。
「…イワン」
そう呟くと、イワンは嬉しそうに笑った。私は、何故かときめいてしまったが、咳払いをした。