頬をかすめた物体X

平和島静雄は池袋で最も喧嘩を売ってはいけない男、または池袋で一番強い男として恐れられている。
そして、今私は平和島静雄に追いかけられている。

事の起こりを説明すると、東池袋の路地を歩いていると目の前に平和島静雄が歩いて来て、私は恐怖でその場を逃げ出すと、何故か平和島静雄は私を追いかけてきた。
つまり、私もよく分からない。

「待て!」

マジでどうしよう。
途中、呑気にパトロールをしていた警官に助けを求めるが、追いかけてくる奴を見て物凄い速さで逃げた。
この税金泥棒!
うわあああ!!
背後から殺気を感じる。
私は、まだ死にたくない。

鬼ごっこから数分後。
私は、平和島静雄に捕まってしまった。

「ごめんなさいごめんなさい」

「お前可笑しいぞ」

平和島静雄は掴んだ私の腕を捻りあげた。
痛い!マジ痛い!
あとコイツ息切れしてないぞ。

「これ、落とし物だ」

そう言って、捻りあげた腕の掌に何かを持たすと、腕を解放した。

「あ、これ…」

渡されたのは右耳に付けていたイヤリング。
右耳を確認すると、外れていた。

「ありがとうございます」

深々とお辞儀をしてお礼を言うと、気にするなと言って平和島様は煙草に火をつけた。
なんだ、噂で聞いてたよりいい人で拍子抜けした。
こんないい人が池袋の自動喧嘩人形と呼ばれてる訳ないじゃん。
と、思いながら平和島様にもう一度お礼を言って池袋駅に向かうため振り替えった瞬間、私の頬をかすめたのは、目の前で潰れている自動販売機と気がついた瞬間、「臨也ああああああ!!!!!!!」と叫ぶ平和島静雄の声を聞きながら私は気を失った。

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