マルシリオも呆れる

「フィディオ!私とサッカーどっち好きなの!?」

また始まった…これで今週何回目だ。
そう思い、指折り数えると指が折り返した所でアホらしくて数えるのを止めた。

FFIヨーロッパ予選前、イタリア代表は厳しい練習をしていた。
チームのコンディションが整い、みんなも士気が上がってあとは予選を待つだけなのだが、毎日毎日フィディオの彼女(しかも毎回違う女の子)がやって来るのだ。

「もう、知らない!」

パシンと、乾いた音が響いた。
わざとヒールの音を大きくたてて、ヒステリックなフィディオの彼女は立ち去った。

「大丈夫?うわ、手形ついてる」

フィディオに濡れたタオルを渡すと、ありがとうと言って頬にタオルを当てた。

「予選近いんだから、何とかした方がいいよ」

「そうだね」

「毎日毎日、あんなの見せられるチームの身にもなってよね」

「ごめん、ごめん」

悪いと思ってる?と聞くと、フィディオは笑いながら「気をつけるよ」と、笑った。


マルシリオも呆れる


「フィディオ!私とサッカーどっち好き…誰、この女」

「いや、これは…」

「フィディオの彼女です」

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