もう、ワケわかんない!

「君って本当につまらないよね」

雪のように紙屑が舞う。それは、昨日寝ないで作曲した楽譜だった。
美風は私に冷たい視線を向けると、氷のように冷たい言葉を吐く。

「僕だったらこんなつまらない曲で歌いたくない」

ちくしょう!本当にムカつく。デビューしてるから調子に乗りやがって。何がつまらない曲だよ。ちくしょう!
スカートの裾を握り締めて、美風を睨むが、余裕そうに鼻で笑った。

「今すぐマシなのを作ってよ」

美風に破られた楽譜を拾い集めていたら、涙が出てきた。それは、五線譜に書かれた音符の上に落ちて、少し滲んだ。
もう惨め過ぎて、実家に帰りたい。

「何?もしかして泣いてるの?」

美風に追い討ちを掛けられると思って制服の袖で涙を拭い、泣いていないと言うけど、美風は溜め息を吐いた。

「顔、あげてよ」

そう言われても、涙は溢れてくるから顔をあげれない。
また制服の袖で涙を拭うと、不意に美風の手が私の顎に触れた。そして無理矢理上げられた。
美風の冷たい瞳と目が合って気まずい。

「なによ…」

トドメを刺されると思ったら、美風の指先が私の目頭から目尻の縁をなぞり、涙を拭った。
少し困った表情を浮かべ、「泣いてるじゃん」と呟いた。

「本当に君は素直じゃないね…ま、そーゆーの嫌いじゃないけどね」

そう言うと、美風は私の額に口付けた。ビックリしてポカンとしている私を余所に、美風は「明日は少しはマシなの期待しているから」と言い残すと、教室を颯爽と出て行ってしまった。

「な、何なのよ…」

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