祈っても祈っても時間は無情に過ぎていった。
試合終了を告げるブザーの音が響く。スコアボードを見上げて呆然とする。
ああ、負けたんだ。
頭にタオルを被り、控え室で項垂れる宮地の隣に座る。高尾はわんわん泣いてるし、インターハイ予選で敗退した時でも泣かなかった緑間も静かに泣いている。木村も、大坪も、監督も、みんな泣いていた。
「宮地」
「うるさい」
かける言葉なんて何もなかった。
「惜しかったね」…起死回生の逆転のチャンスはあったけど、洛山に潰されて圧倒されてしまった。「また来年頑張ろう」…私たちにもう次はない。
「宮地」
「うるさい」
宮地は私の肩に寄りかかると、膝に手を置いた。私はその上に手を重ねると、指を絡ませる。
「宮地、私ね秀徳に入学して良かったよ」
みんなに逢えて良かったよ。と目頭を押さえながら言えば、宮地は静かに頷いた。