06:未来永劫の独占欲 実弥さんとの行為の後、鏡を見るたび思う。 彼はとにかく、体中にキスマークをつけたがる癖があるようだ、と。 「マーキングだァ」 その理由を問えばそう返された。 それにしても数が多すぎませんか? 付けるとしても二、三個で十分だと思うのですが。 「お前が俺以外に正体を隠して、山奥の森の中で一人で暮らすなら、印を付けるのを止めてやってもいい」 はい? 何ですか、その条件は。 「それは止める気はないということを、遠回しにからかって言っているのでしょうか……?」 「違ェよ。正当な条件だろうが」 「今の話のどこがですか……!?」 立ち上がろうとするも、強く腕を引かれ再びベッドへと戻される。見上げれば昼間とは違う色気を宿した実弥さんの顔。 ああ、ほらダメ。この顔に見つめられたら身動きが取れなくなってしまう。 「平和な世界なのはいいが、お前を見る男共が格段に増えたことだけは気にいらねェ……」 そう言って実弥さんは、重ねるように印をいくつも付けていく。 「っ……実弥さん、ダメ」 「またシたくなるか?」 「分かってるなら、も……っ」 「分かってるからしてんだよ」 体中に刻まれていく。 実弥さんなしでは生きられないように。 もうそんな必要などどこにもないのに。だって私は貴方に出逢ったあの日から──。 ◇ 「実弥さん、夕食はこの前お話していたレストランでいいですか?」 「ああ。お前の好きなところでいい」 「その前に少し……ああ!」 「どうしたァ?」 「さ、実弥さん……! これ……ここっ、首!」 「俺のせいじゃねェよ。んな胸元が空いた服着てるテメェが悪い」 「わざと見えるところに付けましたね……? せっかくのデートなのにどうするんですかぁ!」 「この前ここに置いていった服があっただろ。あれを着ろ」 手際よく服を渡され、こうなるようにわざとキスマークを付けたと確信する私なのであった。 [ back ] |