今日は仕事もなく部屋の中で実に平和で実に暇な時間を過ごしていた


久々のオフでもとくにやることなど無く、テレビの電源を入れて面白い番組が無いか適当にチャンネルを回すが何もやっておらず、つけたテレビの電源を落とし、そのまま横になってゴロゴロと部屋の中で過ごしていた。




暇だ、暇すぎる…と天井をボーっと見つめる。一服したら昼寝しよう。と思った静雄は上半身を起こして煙草に手をつけ、一本の煙草に火をつけようと思ったその時だった。机の上にある自分の携帯がピピピピと鳴った


静雄は携帯を手に取り画面を見れば一通のメールがきていた。誰だろう、と思い静雄はそのメールを開いた






「…ノミ蟲からだ」






ノミ蟲とは折原臨也のことで、どうも奴のことは気にくわなくて毎日戦争のような喧嘩をしているほどの犬猿の仲だったと言うのに、何をどうしたのか分からないが2人は謂わば――…恋人同士なのだ。


全く本当にどうしてなんだかな…




なんてぼんやりと考えつつも、静雄は臨也から届いたメールの本文を呼んだ。そこにはとても簡潔にこう述べていた







『今すぐに池袋公園に来て』




とのことだった。
また変な事考えてるんじゃ――…と思うと携帯の画面を見ながら嫌な顔をしたが、久しぶりに恋人に会えるという嬉しさが勝って静雄はいそいそと出掛ける準備をした。


自分がどれだけ臨也のことが好きなのか、再度確認し少し頬を染める

静雄はいつものバーテン服とは違い、白い長袖にジーズンその上にジャケットとマフラー言う私服を着て部屋を出た





1月の後半、まだまだ寒さは続き、雪がちらほらと降り注ぐ。最近寒さからなのか雪がたくさん降り積もる。故に路面は白い雪が積もっていた
雪の上をサクサクと歩き、少し息を吐けば白い煙がもわわと空中で広がる。マフラーに口元を埋めて、ポケットに手を突っ込み少しでも身を暖かくしようとしていた



そうこうしているうちに静雄は池袋公園に着いた。真っ白い景色の中で黒い服はものすごく目立つため、臨也の姿はすぐに見つけた。臨也は何やらしゃがみ込んで小さな雪だるまを2つ作っていた


子供かよ…なんて思いつつも静雄は足を進めた。静雄の気配に気が付いたのか顔を上げて、「あ、シズちゃん」といつもの企みの笑みでは無く、純粋な笑みを浮かべて立ち上がった




「…よぉ」

「あれ、今日はバーテン服じゃないんだね。でも、まぁ私服のシズちゃんも素敵だよ」

「…るせぇ」






直球に言ってくるものだから、静雄は少し照れて顔を背けた。すると臨也はニヤニヤと笑い、「照れてんの?可愛いー」とおちょくってくるもんだから一発殴ろうかと思い拳を作った。

不意に先ほど臨也が作っていた2つの雪だるまが目に入った。雪だるまの顔には何やら描いてあるが…ここからじゃ良く見えなかった。
それに気が付いたのか臨也は何故か得意気な顔をして2つの雪だるまを持ち上げた





「見てよこれ、こっちが俺でこっちがシズちゃん!すごいうまいでしょ?」





確かに良く見れば、そう見えるかもしれないが…言われなきゃ分からねーぞ。なんて思ったが、あまりにも臨也が得意気な顔をしたので、その言葉は胸の内にしまっておいた






「つか、なんの用だよ。寒ぃから早くしろノミ蟲」

「ノミ蟲は酷くない?あ、久しぶりに会えて照れてるんだね。照れ隠しなんだよね大丈夫俺は分かってるから」

「いいから早くしろ。用がねーなら帰るぞ」






そう言うと臨也は「わー待った待った!」と慌てて阻止した。なかなか言わない臨也に若干イラつきながらも相手の顔を見た。

臨也はわざとらしくコホンと咳払いをして、2つの雪だるまを地面においた






「シズちゃん、目瞑ってて」

「ああ?なんでだよ」

「いーから、ほら早く」

「――…たく、」






静雄は臨也に言われた通りに渋々と目を閉じた。前の方で何やらガサゴソと物音がした。やっぱり変な事考えてるんじゃ――…なんて思いつつも、もしそうだったら一発殴ろうと心の中で決めた

決めたと同時に「もういいよ」と言われたので目を開けると、そこには色とりどりの花束が目の前に広がっていた



これは一体なんなんだ。と聞こうと思い口を開けようとした時、臨也の口が開いてこう言葉を告げた








「お誕生日おめでとうシズちゃん」








一瞬、何を言っているのか分からず頭の中が真っ白になった。


おめでとう。…何が?
お誕生日。…誰が?
シズちゃん。…俺が?



そこでようやく気が付いた。1月28日――…そう、この日は静雄の誕生日であった。臨也に言われる今の今まで自分の誕生日をすっかり忘れていた





「やっぱり忘れてたんだー。自分の誕生日」

「…るせぇ。…まぁ、でも、ありがと、な」

「!!」







差し出された花束を静雄は受け取ってから照れくさそうにはにかみながら臨也に礼を述べた

すると臨也はピタリと動かなくなってしまった。一体どうしたのだろうか、と思い首を傾げつつも声を掛けた







「……シズちゃん…」

「なんだよ」

「襲っていい?」

「殴るぞ」





いきなりの襲いたい発言に静雄は口元を引きつらせれば、臨也は「ですよねー」とニコニコと笑っていた。そして、臨也はコートのポケットの中を探り何か取り出してきた






「ねぇ、シズちゃん」

「なんだよ」

「俺はシズちゃんのこと大好き。愛してるよ」

「――…っ、俺も、だ…」

「かーわいっ。うん、だからさ…シズちゃん。」






真剣な顔つきになった臨也は照れている静雄の左手をとって







「結婚しよ」








薬指に銀に光る指輪をはめた


静雄は目を開いて薬指と臨也の顔を交互に見た。臨也はそんな静雄の姿が愛おしくてクスリと柔らかい笑みを浮かべた。






「結婚って言っても式はあげられないけど、式なんてどうでもいいんだ。俺はシズちゃんのことが大好きで愛してるし、ずっとそばにいたい。だから俺と結婚しよ?お返事は?」







そう問いかければ、静雄の顔はみるみるうちに赤く染まっていき、茹でタコにも負けないくらい赤くなったところでマフラーで鼻の辺りまで隠し、目を背けた







「――…俺も…ず、ずっと…一緒に…いたい…」







――…あぁ、本当になんて可愛い恋人なんだろう!



臨也はそう思い、赤く染めた頬を緩ませて静雄に抱き付いた。いきなりのことで静雄は「うわっ」と言って多少バランスを崩したが、なんとか体制を持ち直した







「シズちゃん大好き!これからもよろしくね」

「――…おう」








2人は雪が降り積もる公園の中、甘い甘いキスをして永遠の愛を誓い合った










甘いプレゼント

(よし、俺んち行こうかシズちゃん。ケーキ用意してあるよ)
(…ケーキ…)
(もちろんその後は俺とあまーい夜を過ごそうね)
(………おう…)
(!!(デレた…だと…!?))
(…臨也?)
(今襲って…)
(殺すぞ)
(ですよねー)









――――

1日遅れたけどお誕生日おめでとうシズちゃぁああぁああん!
もう本当に愛してるよ!ラブ!
祝うぅうう!という勢いで書いてたらよく分からなくなっちゃったてへぺろ!


シズちゃんラブ度はこんもりこもっております。とりあえずイザイザとにゃんにゃんコースでおk?


愛しのシズちゃんお誕生日おめでとう!




20120129


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