※現パロ
※本人達公認の三角関係
※政宗様女々しい











ガシャーン!


朝一からガラスが割れる音がマンションの一室に響き渡った。毎度のごとくちょっとした事で喧嘩に発展した家康と三成はいつも通り互いの襟を掴み合い、少し暴れているとどちらかが棚にぶつかり、飾ってあった一枚のお皿がフローリングの床にクルクルと回りながら落ち、粉々に割れてしまった


2人は互いの襟を掴んだまま、無残に割れた皿だった欠片たちを見ては2人で、あ…なんて小さい声で呟いたと同時にバタバタとリビングに向かってくる足音が聞こえた







「What?!何の音だ?!」






すごい勢いでやって来たのは政宗。ぶっちゃけ2人の恋人である。実はこの三人は本人達公認の三角関係である
普通なら考えられないような事なのだが、三人とも誰かが傷つくところを見たく無いと言う理由でこうして奇妙で幸せな三角関係が完成した。

最初は色々とあったが今では何事も共有出来たりし、一年の時を経て三人で同居する事にしたのだ



三人で同居した日から、それなりに日も経ち、大学やら何やらで忙しくて手をなかなか付けられなかった引っ越しの荷物もだいぶ片付け、よし。と政宗が息をついた瞬間、冒頭の音が響いたのだ


あいつら…と思い、リビングへ急いで行けば、案の定お互いの襟をとっつかみあってる家康と三成の姿と、床には無残に粉々になっている皿だったガラスの破片たちが目に入った








「おま、それ……まさか…、」






粉々になってしまった皿をギョッと目を開かせ指を差している政宗は皿に向けていた視線を2人に向けた。直感的に2人はヤバいと思ったので互いに掴んでいた襟から手を離し、政宗と向き合った






「や、あの、これは、その…ぶつかって…皿を一枚落としてしまって…」

「んな……」







政宗の顔を見てスゴいショックを受けているのが分かり、家康は頭を下げ「すまん!」と謝った。三成も申し訳なさそうに「悪かった…」と謝った


大概のことであれば政宗は、謝れば笑って、仕方ねぇな…なんて言って許してくれるが、何故か今回は違った







「この…fool共が!喧嘩するならちったぁ場所を考えろよな!」

「うぅ……すまん…」






カンカンに怒った政宗にそう言われ、しゅんとして謝る家康。続けて三成も謝れば事が済んだのだろうが、お生憎様三成は結構な負けず嫌いであり短気でもある。家康に続けて謝るどころか逆にカチンと来たのか政宗に言い返した








「そんなに大事な皿だったのなら、ちゃんとしまっておけば良かっただろう。それをわざわざ出して飾るなど…割れても仕方無いと言っても他言では無いはずだ」

「…んだと、」

「つまり飾っておいた貴様も悪いって事だ」

「Ah…?!てめぇ…この皿を覚えてねぇのか…?!この皿は…」

「たかが皿一枚でギャンギャン喚くな。その皿がなんだと言うんだ」

「みみみみ三成!」







2人の言い争いにオロオロと見守っていたが、三成の容赦ない猛攻撃にいかんと思った家康は三成にストップをかけた。そして、政宗に三成の分も謝ろうと政宗を見れば、驚愕した。たぶん隣に三成も目を開かせ驚愕しているに違いない



視線の先の政宗は目から涙を一粒零し、握っていた拳が僅かに震えていた








「…悪かったな、たかが皿如きで…」







そう言って政宗は玄関の方へ走り出し、家康の呼びかけも無視して部屋から飛び出してしまった。
ポツンと残された家康と三成は唖然としていた。気を取り戻した家康は三成に訴えかけた







「三成、今のは言い過ぎだぞ。政宗泣いてしまったではないか」

「………。」









内心すごく焦っているのは見れば分かる。三成の目があちらこちらと泳がせなかなか焦点をあわせて無いのだから

それでもなんと言うか、天の邪鬼と言うべきか意地っ張りと言うべきか…三成は一回ツンとした態度をとった後はなかなか素直になることが出来ない。なので今も政宗を今すぐに追いかけたいはずなのに、自分の気持ちに素直になれないので、こうして目を泳がせたり、部屋をうろちょろと歩き回っているのだ。



そんな様子を見た家康は、一つ息を吐き、三成に自分は政宗を追いかけて来るから、と言おうとしたと同時にガチャリと玄関のドアが開いた


まさか、と思った2人は勢いよく玄関の方を見たがそこには自分達が思っていた人物とは、かけ離れてた人物がいた







「ちょっとお邪魔するよー。すごい音したけどどうしたのー?あ、あと肉じゃが作りすぎたからお裾分け」







ずかずかと入って来たのは何の悪戯か、大学でも一緒で部屋もお隣さんの猿飛佐助。ちょくちょくとご飯のお裾分けを持ってきてくれるので2人の頭の中では佐助=おばはんのイメージが出来上がっていた。それを本人に伝えたら「せめてオカンにしろよ」と怒られた記憶は新しい








「いや、ちっとばかし喧嘩を…」

「喧嘩?政宗と?珍しいね、政宗と喧嘩するなんて。原因は何なの?」

「うむ、どうやらこのお皿を割ってしまったことに怒ってしまったみたいで…」








本当に困ったなぁ…と言いたげな顔をした家康を見るのはレアだな、なんて佐助は思いつつ、原因となる割れた皿を見た。ちなみに三成はまだウロウロと部屋を歩き回っていた

皿を見るなり佐助は、これって…と呟いた







「あんたら、この皿割っちゃったわけ?」

「三成ととっつかみあった拍子にぶつかって、落としてしまったんだ…。
政宗にとって相当大事な皿だったのだろう?
……あああああワシはなんて事をぉおお…」








頭を抱えて嘆いている家康と未だに部屋をうろちょろしている三成を見て、佐助は有り得ないと言う驚愕な顔をしていた

そして、皿の大きい破片を一つすくい上げ家康たちにそれを見せて問いだしてみた









「まさかとは思うけど…あんたらこの皿を覚えてないの?」

「「?」」






聞いてみると2人は案の定と言うべきか、頭に?マークを浮かべて頭を傾げた。それを見て佐助は、はぁああとデカく大きい溜め息をついた

それにムッと来た三成は佐助に指を差して怒り口調で言った。それと同時に家康は佐助に指を差している三成の腕をそっと下にさげた







「ならば貴様はその皿が何なのか分かるのかァ!」

「三成、だから人に指を差しては駄目だぞ」

「まぁ、落ち着きなよ。俺様はその皿が何なのか分かるよ。よく聞かされたからね」

「「?」」

「…とりあえず、話を少し聞きなさい」











そう言って、家康たちに手短に話を始めた。

隣には腹を空かせた旦那もいるし、何より追いかけるなら早めがいいしね