「……はぁ、」





ここは政宗たちが住んでいるマンションから歩いて約10分程度のところにある公園。その中にあるブランコに政宗は腰をかけてギィギィとブランコを小さく揺らす

辺りは思っていたよりか、薄暗くなっており茜色の夕日も少しずつ消えてゆき、公園内には政宗以外誰もいなかった



普段なら気味悪いと言ってその場をすぐに離れるが、今はそんなことも思えないほどショックを受けていた。あの2人が皿を忘れていたこともそうだが、それ以前に自分の行動があまりにも女々しくすぎたことに何よりショックを受けていた







「本当に…たかが皿如きにこんなに女々しくなるとは…」








情けねぇなあ…と小さく呟き、まだユラユラとブランコを前後へと揺らす。勢いに任せて飛び出してきてしまったが、この後どうしよう…と思うと何度目か分からない溜め息を一つ零した。その時だった







「ねぇねぇ君さぁ〜1人ー?」

「……Ah?」






後ろから声が聞こえたので振り返れば、そこにはいかにもチャラそうな男が5人ほど立っていた。政宗を見た男共はヒューやら美人やら何やらとざわつき始めた。なんだコイツら、と思った政宗は立ち上がりすぐに立ち去ろうとすれば、1人の男に腕を掴まれた。







「ちょいちょーい、どこ行くのー?」

「…っ離せよ」

「やぁーだよ。どうせ暇なんだろー?なら、俺たちと楽しいことしようよ」








あ、ヤバい。これは本当にヤバい。と頭の中で警報機がうるさいくらい鳴っている政宗はそう直感的に感じた。政宗は掴まれている腕を激しく振り、相手の手を振り落とそうとしたが、周りにいた男たちに取り押さえられてしまい抵抗が充分に出来ないようになってしまった






「…ーっshit!はな、せよ!」







自分だって男だ。背もそれなりに高いし、筋肉もついている。力だってあるが、5人の男に捕まってしまえばそれらは無力に等しくなってしまう
精一杯暴れて抵抗してみるが、それなりにガタイのいい奴に両手を後ろに一括りされてしまい、大した抵抗が出来なくなってしまった

キッと男たちを睨むがあまり効果はなかったみたいで、おー怖い怖いと馬鹿にしたような口調で流されてしまった








「そんなに睨むなって、これから俺たちと楽しいコトするんだからさー」

「誰か縄持ってこいよー」

「口も閉じるか?」

「別にいいんじゃねぇ?」

「とっととやろーぜ」







あれこれと話している男たちの会話を右から左へ受け流し、どうにか脱出出来ないものかと身をよじろうとすれば、後ろで一括りされていた両手を縄でギュッと縛られてしまい、政宗はギョッとした






「…さぁ、楽しいコトしようかぁ」

「く…んな…やめろ…」








ニヤニヤと下品な笑みを浮かべている男たちを見た政宗は顔が一気に青ざめていくのがよく分かった。あまりの恐怖で声が震えたことも分かり、本当に女々しいな…なんて思い、逃げ場を失った政宗はくるであろう男たちの手に恐怖を抱き、目を固く瞑った


だが、対象である手はくる気配は無く、寧ろドゴッと言う鈍い音が響いた

そっと目を開ければ、政宗は目を限界まで開かして驚いていた。そこにいたのは







「汚らしい手で私の政宗に触るな、下衆が」

「みつ、な…り…?」







突然自分の目の前に三成がいたことに驚いていると、後ろで自分を捕まえていた男から「いだだだ!」と言う悲鳴が聞こえた。男の手から解放された政宗は後ろを振り返ってみれば、男の頭を力を込め鷲掴みしている家康がいた







「いえや、す…」

「政宗、大丈夫か?」







鷲掴みしていた男を横にペイッと捨てて、ギュッと政宗に抱きついてきた。何が起きているのか未だに頭が追いついていかず呆然としており、いつめなら家康の抱きつきに抵抗するが今は大人しく家康の腕の中にいた


そんな中、三成は殴って倒れた男を足を使い、器用に仰向けにさせ右足で男の左肩を踏みつけ、凄い殺気を放ちながら男を見下していた。







「貴様、覚悟は…出来てるな?」






ギッと睨みつける威力はハンパなく怖い。男もあまりの恐怖に「ヒッ、」と小さく悲鳴を上げた。今の三成は怒りに満ちていて今にも男たちを血祭りにしようと言う勢いだったが、そんな三成に家康は呼び止めた






「三成、政宗がいるんだぞ」

「…ちっ、分かっている」






男の肩を踏んでいた足を退かし、最後にと言わんばかりに一睨みをし、家康と政宗の方へ歩き出した。三成は2人のところまで来ると家康から政宗を奪い、政宗をギュッと抱きしめた。家康は寂しそうな顔をしてから、倒れている男に少し近づき同じくらいの目線になるようにしゃがんだ







「今回はこれで見逃すが、もし今度政宗の前に現れたりしたらワシはもう知らんからな?」






つまりだ、今回は政宗も無事だったみたいだし、家康の良心が働き、三成が暴走になるのを止めたが、次何かあったらもう三成を止めないから。お前たちを血祭りにしてやるからな。と言う意味合いである


男たちは家康の言いたいことが分かり、面白いくらい凄いスピードでサーッと顔を青ざめていく






「分かったなら、さっさと散れ」





いつもの笑顔でそう言うが、もういつもの家康ではない。ただの黒康に変化していた。男たちは家康のその豹変ぶりに恐怖を抱き、一目散に去って行った。それを、はははと笑う家康を後ろで政宗を抱きしめていた三成は「この狸が」と小さく呟いた



男たちが去って行き、気が付けば茜色の夕日は当に沈み、辺りは暗闇に包まれ、公園には3人以外誰一人いなかった







「…Ahー…と…、2人とも…Thank you…」







やっとこさ自分は2人に助けてもらったのだ、と分かり礼を述べると同時に、三成がさらにギュッと強く抱きしめてきた







「無事で、良かった…」

「助けるのが遅れてすまない…。
あと、皿の件もすまなかった」

「Ah…皿のはもういいんだ。こっちこそ、たかが皿如きで怒鳴って悪かった…」

「皿如きでは無いだろう。あれは」







そう言う三成に政宗は「え、」と言って多少ながら驚き、三成と家康の顔を交互に見た。2人とも本当に申し訳無さそうな顔をしていた。








「不覚ながらお裾分けに来た猿飛に教えてもらった」

「あの皿はワシらにとって、とても大切な物だったと言うのに…それを割り、さらに忘れていて本当にすまない」








そうだ、あの皿は思い出深いモノだと思う。あれは丁度一年前の話、俺たちが付き合うことになった日のことだ。3人で帰っている途中のことだ、偶然通りかかった雑貨店の窓に飾ってある皿が目に入ってきた。皿には小さな小鳥3匹が幸せそうに寄り添っている絵が描かれていた

それが目に焼き付き、じっと見ていたら2人が付き合った記念品として買おう。と言い、買った皿なのだ。当初はずっと飾ろうと思った政宗だが、割れたら嫌だと思い大切にしまっていた。それから一年の時が経ち、引っ越しの準備をしている時に皿を見つけた。


懐かしいなと思い、相変わらず幸せそうに寄り添っている3匹の鳥を見つめていた。そして、ふっと思った。そう言えば俺たち付き合ってから一年になるのだと。政宗は一周年記念として、リビングにそのお皿を飾ったのだった。



政宗はシュンとしている2人を見て、ふぅと息を吐いた







「Hey、2人とも。別に俺はもう気にしてねぇし、怒ってもねぇ」

「だが、」

「Never mind。本当にいいんだ」






自分は確かめていたのかもしれない。いくら付き合っているからと言っても自分たちは男。やはり女と付き合うのとは違い男同士は限度と言うものがある。いつしか、この愛が冷めていくのではと思った。だから、皿を飾った。記念日と言うのはただの建て前で本当は愛を確かめていたのかもしれない


本当に自分は女々しいと思う。皿なんかで愛を確かめるなどと




でも、それは今日までだ。物越しの愛情はもういらない。確かめる必要も無い


だって俺は









「2人共、I love you」

「私も愛してる、政宗」

「嫌って言うほど愛し続けるぞ政宗!」

「Ha!上等だァ、俺もウンザリだと言わせるくらい愛し続けてやるよ」

「ウンザリと言う日はこの先、来ることは無いだろう」

「ははは、そうだな!」






そう言って家康は政宗の左側に三成は右に並び、それぞれ手を繋ぎ出した。政宗はそれに微笑み、自分もギュッと握り返した。









こんなにも愛されているのだから












愛し、愛され


(夕飯なに食いてえ?)
(ワシはエビフライ!)
(またかよ)
(政宗が作るものならなんでも)
(なら、冷え込むし鍋にすっか)
(鍋か!楽しみだな!)
(家康うるさい黙れ斬滅)









――――
ぐあぁあああ!
冬様ぁあああ本当に大っ変長らくお待たせ致しましたぁあああ!もう本当、なんと詫びれば良いのか…とりあえず海老反りしながら謝ります。本当に申し訳ありませんでしたぁあああ!バッ

「関ヶ原×政宗で喧嘩シリアス→仲直り甘」とのことでしたが…リク通りになっていのか不安ですし、覚えてますかね(^ω^;)
そして、まさかの長さに私自身ビックリしました。文をまとめる力が欲しいでござる


冬様のみ持ち帰り&書き直し&苦情受け付けます!
リクエストありがとうございました!これからもよろしくお願いします(^ω^)