※現パロで休日の朝の三政。糖分多め…かも?






ピピピピピピ…


喧しい電子音に寝惚け眼を擦って枕元を探る三成は、不機嫌そうな唸り声を漏らしながら、破壊せんばかりの勢いで目覚まし時計の頭を叩いた。

沈黙したデジタルの文字盤を見やれば、まだ七時前。休日とは朝寝坊と二度寝で半日潰すものだと主張する同居人の影響で、普段ならとっくに起きているこの時間を『まだ』と感じるようになってしまった。

その同居人たる政宗はといえば、三成のすぐ横で猫のように体を丸めて未だ熟睡中。

一度寝たらなかなか起きないこの男の前では、大音量のアラームも形無しだ。故に普段は三成が呼んで揺すって、最終的には叩き起こすのだが、今日はそうする必要もない。

起こす為ではなく、ただ何となく触れたくなって、頬に掛かるさらさらとした髪を指で掬い上げた。仄かに香るシャンプーの匂いは、三成の好きなものの一つだ。

目を閉じていると際立つ長い睫毛に、カーテン越しに差し込む朝日で淡く輝く白い肌。精巧な人形のようで、だけど確かに温かい身体を緩く抱き込むと、微かに心音が伝わってくる。

このままもう一度眠ってしまおうか。瞼が落ちかけたちょうどその時、スヌーズ機能の付いた目覚まし時計が空気など読むはずもなく、再びけたたましく騒ぎ始めた。

政宗が腕の中で身動ぎして、煩そうに眉根を寄せる。慌てて電源を切るも、時すでに遅し。左目をぱちぱちと数回瞬かせ、まだぼんやりとした顔で暫し三成を見つめた後、政宗はふわりと微笑んだ。


「…Morning.」


寝起き特有の掠れた声で囁く様が妙に艶っぽく、思わずどきりとさせられる。政宗の場合、わざとらしい色仕掛けよりも、こういう無意識の所作の方が余程色香を纏っているのだから堪らない。害虫駆除に三成がどれだけ苦心しているかなど、己への好意に殊更鈍いこの男は知る由もないのだろう。


「今何時…?」

「七時過ぎだ。眠いならもう少し寝ていても構わん」


とろんと重そうな瞼と睫毛に啄むような口付けを贈ると、擽ったそうに笑いながらもぴたりと身を寄せて、しがみつくように三成の背へ腕を回す。


「…何か、」

「何だ?」

「シアワセだなぁって」

「…寝惚けているのか?」

「寝惚けてねぇよ。I’ve never been happier…アンタが、傍にいてくれて…」


ごにょごにょと呟きながら、政宗は再び目を閉じて規則正しい寝息を立て始めた。夢うつつで零れたそれは本心だったのか、それとも意味のない寝言だったのか。

どちらだっていい。言葉よりも確かな温もりが、ここにはちゃんとあるのだから。

ゆるりと目を閉じれば、心地よい気怠さが身を包み、柔らかな重みが胸を満たす。



________ああ、そうだな、幸せだ。


揺蕩う意識は甘い睡魔に誘われるまま、いつしか穏やかな眠りへと落ちていった。





幸せに微睡む



(貴方がいなければ知ることもなかった)

(その言葉の意味を噛み締めて)







――――――

ふひひ、悠々自適の壱様からいただきました!
三政で甘々です!

もう素晴らしいの一言に限りますね。ひとつひとつの描写が細かく書かれてまして、2人の幸せオーラが画面越しでビンビン伝わってきました。
いいな、三成と政宗様の間に入りたい。ドヤ顔して寝てたいなぁ…。

本当に始終ニヤニヤしてて不審者に間違われそうでした…!あぶねっ


壱様、この度は相互&素敵な小説ありがとうございます!これからもこんな私ですが宜しくお願いします!