あれから、家康は鍛錬しに行ってしまった為、自然と私と梵天丸は2人きりになってしまった。

梵天丸を一人、庭に残して置くのもあれだから、三成は梵天丸を呼び、自室に招き入れた。特に何もない部屋なので「適当に過ごしていろ」と梵天丸に言えば、小さくコクリと頷いた。



三成は頷いたのを見て、梵天丸に背を向け、机に向かい筆を取り再び政務をやり始めた。


その際に三成は、先ほどと打って変わって元気も笑顔もまるっきり無くなった梵天丸を見て、はぁ…と小さく溜め息を吐いた。この溜め息は別に梵天丸が嫌いとか、そんな理由ではなく、おそらく自分の顔を見て怖がっているのだろう…と思い、ガックリ…と言う溜め息である


三成自身、別にガックリしているつもりはない。無意識にガックリし、溜め息をついたらしい。




だめだ。集中しなくては。と頭を少し横に振り、筆を進めようとすると…クイっと後ろから陣羽織を引っ張られた。
なんだ?と思い、筆を硯の上に置き、振り返ると三成は目をこれでもかと開き、驚愕した。


視線の先には…大きな瞳にあと少しで零れてしまうと言うくらい涙を溜めている梵天丸の姿だった



これには三成は慌てたし、驚いた。自分は何もしていないので梵天丸を泣かすような事はしていない。そう、梵天丸と全然接していない。


意味もなく自室の中を見回したり、手を動かしたり、とりあえず三成はあたふたしていた。そこに、震えた声が響いた







「みつ、なりは…ぼんのこと…きらい…?」





あぁ、涙が溢れてしまった。止め処もなく梵天丸の大きな瞳からボロボロと大粒の涙が溢れ出した。しかし、三成は梵天丸が言った言葉が頭の中で駆け巡っていた





梵天丸はなんと言った?
嫌い?誰が?
私が?一体何故?



疑問がポンポン出てくる出てくる三成。だが、上手く頭の中で処理が出来ないため黙っていると、梵天丸は先ほどより沢山の涙をボロボロと零した





「やっぱり、きらい、なの?梵は、みつ、なりのこと、すきだよ…、でも、みつな、りは梵のこと、きらいなんだ、

みつなりも、梵の、この右目が、ないから?きもちわるい、から?みにくい、から?」





ひっくひっくと泣きながら、そう三成に震える声で訴える梵天丸の顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。


だが、三成はやっと理解したのだ。何故、泣いてるのか、三成は梵天丸のことを嫌いと言ったのか…梵天丸の言葉でやっと理解した



この子…梵天丸は怖かったのだ。私の顔が怖いと言う理由も少しはあったと思うが、でも違う。もっと、深く暗い理由があるのだと思う。



梵天丸は言った、右目がない。と、そしてその後に言った言葉は気持ち悪い、醜い。これらの単語を聞いて分かった。梵天丸は右目がないことから、誰かから…罵られていたのだろう。

それはまだ小さい梵天丸にとってみれば、その言葉は怖くて仕方無かった。
梵天丸だって、好きで右目を失ったわけではないと思う。本当は両目きちんとあって欲しかっただろう。それなのに周りは梵天丸の気持ちを考えず、小さな梵天丸を罵っていた。



出会う人々に右目のせいでまた何か言われるんじゃないかといつも怯え、怖がっていた…。

しかし、これは三成の推測にしか過ぎない。…ただ、もし三成の推測が正しければ梵天丸は、なんて酷な人生を歩んでいたのだろうと思うと居ても立ってもいれず、三成は目の前で泣きじゃくる梵天丸を無意識に抱き締めていた





「みつ、なり…?」

「…梵天丸…私がいつ、貴様のこと嫌いと言った?気持ち悪いと醜いと言った?」

「だ、だって、みつなり、梵をみて、くれない…いっしょに、あそんでくれない…」

「…そうか。だが、貴様は大いに勘違いしている。」

「ふぇ…?」

「私は家康と違って、明るく接することは苦手だ。子供との接し方もよく分からない。顔だって怖いと言われる。そんな顔で見たら梵天丸が泣いてしまうと思ったから極力見なかった。
子供との接し方が分からなかったから、遊ぶのもどう遊べば分からなかっただけなんだ。」

「じゃあ、じゃあ、みつなりは、梵のこと…」

「嫌いではない。」

「ほんと…?」

「あぁ、それに…梵天丸、貴様は貴様だ。右目が無くとも梵天丸に変わりはない。だから、もう怖がらなくていい、怯えなくてもいい。何かあったら、私か家康に言え。分かったな?」

「…うん、ありがとう…みつなり。だいすき!」





梵天丸は初めて三成に向け、笑顔を見せ抱きついた。三成も自分では自覚していないが、梵天丸を見る顔は優しく微笑んでいた。そして、三成もギュッと梵天丸を抱きしめた。











怖いものは消えたよ


(三成ー梵天丸ー只今戻った…)
((……zzz))
(ふふ、2人で寝ている。)
(どれワシも一緒に寝るとするか)















――――

三人仲良く川の字で寝ます。だが、またよく分からない文になった…だと…?!とりあえず、三成と梵天丸が仲良しになったんだぜ!と言うことです…はい
しかしながら、この三成は三成の皮を被った家康みたいだ。


20110802

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