※シリアス










見上げれば空は酷く鉛色に曇っており、今にも雨が降り出しそうだ。三成はその中、ジャリと砂を踏む音を響かせながら、この荒れた地を歩いていく
片手には鞘に入ったままの刀、鎧やら陣羽織やら顔には自分ではない誰かの血がついていた。所謂、返り血を浴びていた

ジャリジャリと砂を踏む音を出しながら歩いていた足がピタリと止まった。今まで俯いていた顔をそっとあげる


その視線の先には青い陣羽織、腰には6本の刀、三日月の兜、隻眼、腕を組み堂々と立っている彼―――独眼竜 伊達政宗…。彼の顔は待ってました、と言わんばかりにニヤリと口元を上げ笑っていた。でも、その顔にはどこか悲しいと言った感情が入っていた







「――…退け、伊達政宗…」

「HA!俺が分かりましたって退くわけねぇだろ?」

「…私は貴様に用は無い。用があるのはその先にいる家康だけだ!」

「…なら、尚更ここを退くわけにはいかねぇな」






政宗はそう言って腰に差していた一本の刀を鞘からスッと取り出し、両手を添えて構えた
その様子を見てなのか、それとも政宗が先ほど言った発言のせいなのか、三成の眉がピクッと動き、鞘に入ったままの刀を政宗に向け怒鳴り散らした






「何故、貴様らは私の邪魔ばかりをする!何故、私の行く道を阻む!」

「…俺たち東軍の総大将は家康だ。総大将をそう簡単に出すわけにはいけねぇだろーが。」

「黙れ黙れ黙れ!何故皆もが口を揃えてやつの名を呼ぶ…!何故誰も奴を咎めない!何故、貴様はそこにいる!何故、貴様は……」







そこまで言って三成は口を閉じた。それと同時にドカーンとどこかに雷が落ちた。それを合図に鉛色の空から水滴が落ち、ザァァアと雨が降り始めた

どちらも一歩も動かず、互いの視線を交え合わせてただ雨に濡れていた


鞘に入ったままの刀を未だに政宗に向けている三成の手は本当に僅かに震えていた。それが怒りなのか、それとも悲しみなのか…。三成の表情は怒りに満ちているが、どこかに悲しみも混じっている。それは政宗も言えることで、互いにその表情が出ないよう違う感情で必死に隠そうとしている


辺りには政宗と三成以外誰もいないので2人が言葉を発しない限り、聞こえてくるのは雨が降る音、ゴロゴロと鳴る雷の音のみ。その沈黙を破ったのが政宗だった






「俺は小田原でテメェがやったことを忘れてねぇ…。」

「………。」

「だが、それ以上にアンタをほっとけなかった。憎悪、復讐、恨みの念を纏ったアンタを、な…」






そうだ、今目の前にいる彼はかつて小田原に負けた俺と同じだった。奴に負けてから俺は奴を憎んだ、恨んだ、復讐してやるなぞと思っていた。だが、小十郎のおかげで目が覚めたのだ。そんな感情を纏っていても何も変わらないと、さらに状況が悪くなるのだ、と。


だが、目の前にいる彼はそう気づかせてくれる奴がいない。故に憎悪の念を増大させながらこの地まで来た。ならば、俺が教えてやる。気づかせてやる。憎悪の念を抱いたままでは何も変わらない、むしろもっと最悪な状況を招くぞっと。

それがどんな形でも教えてやると思った




あぁ、俺はいつの間にこんなにお人好しになったのだろうか。…否、俺はこいつだけにお人好しになってしまったのかもしれない。

刀を抜いた時、胸が締め付けられるように痛く、情けない話…少しだけ泣きそうになった
女子かと己でも思った。でも、それだけ俺はあいつ…石田三成のことを――…







政宗はチャキと刀を再度構えた。それはもう戦の始まりの合図と言ってでも過言では無い。三成は下唇を少し噛み苦痛の表情を見せてから政宗に向けていた鞘を左手に持ち、右手は刀の柄に添え、いつでも刀を抜けるよう構えた









「さぁ、楽しいpartyの始まりだぜ?」















心、雨模様


(この気持ち、)
(気づかなきゃ良かった)









――――――
三→←政のつもりが、三←政ぽくなったぞっ!
自分は片思いだと思いつつ本当は両想いなんだゼ☆みたいな感じを出したかった…

あと、どうでもいいんですが本当は三成が政宗を倒して、死に際に両想いなんだゼと言うことが判明し、平和な世で会おうね私待ってるから!的なことを約束するが、気が付けばまた同じ戦の世でまた敵同士になって、でもまた互いに好きになって…と永遠と同じことをループし続ける報われない恋の話だったりします。面倒臭くって書かn((((


次はイチャイチャラブラブしたもの書きたいお!お粗末様でした!





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