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『‥‥‥ならぬ!そなたに定められし事を全うせよ!』
『嫌です!お父様!!』
私自身、これ程に激しさを持ち合わせていたとは思っていなかった。
お父様もすっかりお怒りになられながら、私の様子に何処か意外そうになさっている。
『そなたがただの娘であれば、認める事もあろう。だが‥‥‥』
ああ。
お父様も苦しいのだ。
私の願いを叶えたいと思って下さっている。
けれど。
寄せられた眉根が、それを許されぬと告げておられるのだ。
『‥‥‥絢子の願う全てを叶えてやりたいとは思うておる』
開け放された室内に、聞き取れぬほどの小さな声。
『絢子は‥‥‥私は、幾らお父様の仰せであっても、お聞きする事はできません』
『‥‥‥‥‥‥絢子、我を困らせるでない』
お父様は溜め息と共に、苦渋の表情を浮かべられた。
ごめんなさい、お父様。
それでも、愛する人と共に居られるのなら
私は‥‥‥
『お父様、絢子を亡き者とお思い下さいませ』
『‥‥‥絢子!』
他に何も要らないの。
重衡お兄様
‥‥‥貴方さえ居て下されば。
桜、ひとひら
第三話、もう一度あの場所で
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