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弁慶殿の住む庵を用事で尋ねて夕刻まで過ごし、

「そろそろ行きましょう。譲君の料理を逃したくありませんし」

と二人で梶原邸へ。
辿り着いたのは日が沈んですぐの事だった。





海の暁〜B〜
『最酒兵器彼女』








「敦盛か!?大変だ!!」


まさか門を開けると同時にヒノエが飛び出して来るとは思わなかった。

更に言うなら彼の勢いをまともに受けた弁慶殿が



「ふふっ‥いけない人ですね、ヒノエ‥‥躾をやり直さないといけませんね‥‥‥‥‥ふふっ、ふふふふふ」



と暗黒の‘おーら(ゆき語)’をこんな場所で放出させる事態も予想外だった。(ある意味いつもの事だが)

一瞬の眩む様な閃光の後、地面から出た岩に襲われて。
先程よりも弱った感じのヒノエに私は尋ねた。



「‥‥何が大変なんだ、ヒノエ」



オレの心配はなしかよ!と叫ぶ声が聞こえた気もするが、気のせいだと結論付ける。



「‥‥‥ゆきが 「すぐ行く」 間違って‥‥‥‥ってもういない‥‥」



‥‥ゆきっ!!











「ゆきさんの事になると、敦盛くんは素っ飛ばしますからね、色々と」

「色々って何だよ‥‥」

「それはもう色々と‥‥‥ところで、ゆきさんに何があったんですか?」

「望美が『宴やりたい!』って言ったんだ‥‥」

「ああ‥‥‥アレですか‥‥(遠い目)」



この世界に来たゆきを助けて(梶原邸で)一緒に暮らした弁慶は全て解ってしまった。



「九郎と景時と朔殿は止めなかったんですか?」



勿論、源氏の彼らも知っている。




「あいつらは気がついたら逃げてたね」

やっぱり














  


「やっと来たね!敦盛」



全速力でゆきの元へと走る私に白龍が声を掛けてきた。



「ゆきはどこに?」

「奥の部屋だよ。将臣が相手してる

「‥‥相手?」

「うん、ゆきは凄いね!さっきまでリズヴァーンが頑張ったけど、腰がついていかないって言ってたよ」

「リズ先生?‥‥腰??」



一体何があると言うのだろうか。
腰を痛める程の、一体何をしたと言うのか。
私が怨霊だから、ゆきは私では満足出来ないと思ったのか。
私はまだ女性経験がないが、例え怨霊であっても満足させられ‥‥‥‥いや、まだそうと決まった訳ではない。
ゆき、すまない。



「ゆきに会ってくる」

「うん。敦盛しかゆきを止められない」



白龍の声援を受けて走る私の目は、赤く変化していると思う。

大切なゆきを奪う者を許せない‥‥!!







 

 
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