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「‥‥血の宴、なんでしょう?‥‥楽しませてよ‥‥」
「血じゃねえ!ただの宴だ!!」
ああそうだ、知盛殿にそっくりなのだ、今のゆきは。
女版平知盛になってしまったのだ。
一体何があったのだろう。
誰かが私のゆきに何かをしたのだろうか。
「兄さん!この距離では危険過ぎて射るのは無理だ!!」
「何なんだよこの強さは!!‥‥‥‥仕方ねえ、敦盛!!」
「将臣殿」
「オレが気を引いてる間にお前がゆきを止めてくれ!」
「わかった」
「ここは二人に任せるね!」
「OK!!」
「ああ」
短く返事をする私に将臣殿は頷き、剣を降ろすと横へ飛んだ。
わざと体制を崩した事にゆきが驚いた、その隙に私は地面を蹴る。
武器を構えたゆきを背後から捉え、腕に抱き締めると、動きが完全に止まった。
「ゆき」
名前を呼ぶとぴくりと肩が震え、ゆきの手から刀が滑り落ちた。
ゆき‥‥‥。
取り敢えず一安心と言った所だ‥‥‥。
「‥‥あれ?敦盛くん?」
「‥‥ああ」
どうしたの?と振り返って私の顔を見るゆきは、いつもの彼女で。
「‥‥何でもない‥ただいま」
「おかえり〜〜‥‥」
力なく笑ったかと思えば、そのまま身体の力が抜けてしまい、慌てて抱き上げた。
ゆきは幸せそうな表情で眠っていた‥‥。
だが、かなり赤い。
暴れていたからだろうか?
それにしても汗はかいてない。
息が荒いのと熱があるのか心配になって顔を近付けてみた。
額同士をつけるとはっきりと解った。
「‥‥‥酒」
これはつまり、いわゆる酔っ払っている状態だろうか?
部屋にいる将臣殿達ならば何か知っているだろう。
と思い顔を上げると何故か視線を逸す面々。
‥‥‥?
神子も将臣殿も顔を真っ赤に染め、譲に至っては首まで赤くして「目のやり場がないだろ」とか言っている。
いつの間にかリズ先生は消えていた。腰痛が軽くなったので鬼の力で跳んだのか。
いや‥そんな事はどうでもいい。
私には‥‥聞きたい事がある‥。
「ゆきに酒を勧めたのは‥‥誰なのか、教えて欲しい」
「「「ヒノエ」」」
「そうか」
終わり
20070728
☆おまけ☆
「誤解だ敦盛!望美が最初に『宴会だぞ☆』と言ったんだ」
「そうか‥‥‥ヒノエは何も‥‥していなかったのか‥」
「いや、確かに水だと言って酒を渡したけどね。まさか瓶ごと空けるとは思わなかったぜ。豪快な姫君だった‥‥‥‥あ、敦盛?」
「四海流撃」
今回の被害
リズヴァーンの腰痛。
ボロボロの将臣
敦盛が飛ばした戸(額に当たり負傷した白龍)
敦盛とゆきのちゅうシーン(額をくっつけただけ)を見た譲の乙女心
☆もういっちょおまけ☆
〜源九郎義経の京邸〜
弁慶「やはりここにいたんですね。あちらではもう始まったみたいですよ、アレ。止めなかったんですか?」
朔「ヒノエ殿がゆきに酒瓶を渡した瞬間に、兄上ったら逃げたのよ」
九郎「景時は薄情なんだな。お陰で俺達まで逃げる景時を追いかけて、ここに来たんだ」
景時「‥‥(嘘だあ〜。朔は俺を追い抜いてここに来たくせに‥‥‥九郎なんか、走りながら「あいつらの意志はこの源九郎義経がきっと継いで見せる!成仏してくれ!!」とか叫んでたくせに‥‥‥」)
朔「何か言いたい事でも?」ギロッ
景時「‥‥‥何でもないよ〜、やだな〜‥‥‥」
酔ったゆきを経験済の源氏組、臆病になっている。
前回の被害
景時の部屋の内部
止めようとした朔のほっぺにちゅう
九郎の髪の毛5cm
弁慶の高価な睡眠薬
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