(2/2)
 


「ヒ ノ エ ?僕達を無視するなんて随分偉くなったんですね?」

「‥‥何でアンタまでいるんだよ、叔父さん」

「風花殿が是非にと呼んでくれたので。女性の頼みを無碍に出来ないでしょう。ねぇ九郎?」

「ああ。久し振りに皆の顔を見るのもいいものだからな」

「ま、そういうこった」

「‥‥野郎が並んでいるのを見てもね」



弁慶さん、九郎さん、将臣の言葉を聞いて更に渋面を作る綺麗な顔。
それを見た望美が得意げに笑う。




「ヒノエ殿、早く座って頂戴?始められないわ」

「ああ、朔ちゃん‥」



広い室内を埋めるのは‥‥以前、共に戦ってきた仲間達。







平和を取り戻してすぐ、熊野に戻り私と婚姻を遂げたヒノエ。

それからは熊野の頭領として生きている。

彼にとっては当然のことなのだ、けれど‥。




‥‥‥こうして、皆で集まる事などあれから一度もなかった。




「たまにはこういうの、同窓会って感じでいいよね譲くん!」



今日だけは、頭領でなく。

あなたが、ただのヒノエでいて欲しいと。

そう思うのは、私のエゴなのかも知れない。




「ええ。こうして皆と会うと、あの頃が懐かしいですから」

「‥‥感謝する、風花殿」




敦盛殿が深々と頭を下げる隣で、リズ先生も覆面を下げて目を細めた。



「お前も早く飲めよ」

「野郎に注がれた酒なんか飲める訳ないだろ」



そのまま私の隣に座ったヒノエの肩に手を回して、強引に酌をしているのは将臣。
笑ってしまうと、眼が会った。



「おめでとう、ヒノエ‥‥‥生まれてくれて、嬉しいわ」



改めて祝いの言葉を口にする。



「風花」



空いた方の腕が伸びてきて、私の腰をぐっと引き寄せ‥‥。



「‥‥‥んっ」

「今年はオレの完敗だね」



強引に塞がれた唇が離れると、ヒノエの眼が強い光を帯びた。



「今夜は覚えてなよ?返礼は弾まないと男が廃るってね‥‥‥‥眠る間も与えない」

「‥楽しみにしてる」



いつの間にか離れた将臣の腕。

それをいい事に、ヒノエの顔がもう一度近付く。


皆の見てる前で、なんて‥‥。



「‥‥ありがとう。愛してるよ、オレの風花」




躊躇いや恥ずかしさは、珍しく照れた笑顔の彼を前に融解する。

愛しさを込めて、眼を閉じた。





「っ!!だーかーらーっ、風花から離れてよっ!!」




「‥‥‥譲。望美はまだ風花を好きだと言っているのか?」

「どうもその様ですね九郎。譲くんも大変でしょう?」

「‥‥‥‥はぁ」








宣言通り、その夜は一睡も出来なくて。

酔い潰れた皆から随分離れた別室で、一晩中キスを繰り返した。






想いが、繋がった身体から
少しでも伝わればいいのに。


いつだって、あなたが傍で抱き締めてくれる幸せを。







あなたの大きな愛に包まれて、

私はずっと生きているの。











 

  
戻る

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -