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「で?チョコケーキをまた作り直したの?律儀というかなんと言うか‥‥」
「蘭、そう言わないの。急だったもんね」
「咄嗟に誘うには良い口実だ」
「あはは」
「けどよ、詩紋も運がいいよなー。惚れた女に偶然会えるってさ。しかもイブの夜に」
「‥‥‥偶然じゃないから」
今年もきっと、あのツリーを見に来る。
そう切実に願って居たなんて、照れて言えない。
「しもんくん、おいしー!」
「本当!?良かった。ちゃんと君のお口にも合うって太鼓判貰ったんだよ」
「ふぅん‥‥‥てれびにでてる、きれいなおねえさん?」
「うん」
「桜井恋だったか」
「‥‥意外。泰明もテレビ見るんだな」
「無論だ」
「可愛いよね恋ちゃん。ソロになってからの方が私は好きだな。あかねもそう思うよね?」
「うん!詩紋くん、いつか連れて来てね」
「え?僕が?」
「私、生恋ちゃんを見たいな。だから頑張ってオトしてね!」
「頑張れよ詩紋!俺にも生恋な!」
「お兄ちゃんが言うと変態なんだけど!‥‥あ、詩紋。私も生恋ちゃんよろしく」
「なま?なまってある?じゃ、やいたりするの?」
「生恋ちゃんって何かな、もう。天真先輩は犯罪っぽいからやめてね」
「‥‥悪ぃ」
詩紋はがくっと肩を落としながら、唯一参加していない泰明を見る。
眼がばっちりと合った。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
同情の光を宿されてはもう、何も言えない。
「という訳で生じゃない恋ちゃんと詩紋くんのビデオ見よう!泰明さん、この前のやつどこだっけ?」
「二段目の右から三番目だ」
「さすが泰明さん!愛してる!」
「あかね、私もお前を愛している」
「だーから人前でいちゃつくなって言ってるだろうが!この夫婦は!」
「てんま、おとうさんとおかあさんはいま『ふたりのせかい』なんだよ」
「そうだよお兄ちゃん。いい加減あの夫婦に慣れなよ。ねー?」
「ねー?」
「‥‥‥‥‥‥‥相変わらずだよね、皆」
大好きな皆にも
メリークリスマス‥‥‥。
泰明の娘=「大地の陽」ヒロイン
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