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私のひぃろうは私が何処に居ても、声を上げれば直ぐに現れてくれる。すごくすごく、頼りになるひとだ。

「佐助っ」

「はいはい、何でしょう?」

ひゅん、と風を切る音が耳元で聞こえて、振り返るとにん、と笑う忍がひとり。

私はぱあっと表情を明るくして、迷彩服の似合う彼に向き直る。

「城下にお団子を食べに行きたいのですっ。佐助、ついてきてくれる?」

「りょーかいっと。で、姫様、俺は後ろがいい?それとも横?」

少し首を傾けて悪戯っぽく問いかけてくる佐助に、私は満面の笑みで、

「もちろん横ですっ!」

すると佐助は一陣の風を巻き起こして、ふわりと私の前に降り立った。そこには落ち着いた色の着流し姿の男性がいる。

「んじゃ、行きますか」

「はいっ」

佐助の早着替えには、いつも驚かされる。瞬きする間に服装は勿論、ときには髪型さえも変えてしまうのだ。

普段の忍衣装も佐助らしくて素敵だけれど、こうやって表立って外出するときの着物姿もまた違った魅力がある。贔屓目なしに佐助はかっこいい。

ちら、と覗き見るように視線を向けると、すぐに気づいてくしゃりと頭を撫でてくれた。少し筋張った手は優しさに満ちていて、自然と頬が緩んで甘えたくなる。

「……さすけ」

気づいてくれるかな、と小さな期待を籠めて甘えるように名を呼ぶと、ほんの少し眼を丸くした佐助がにこりと笑った。

「はいはい、ひな姫様は甘え上手だね」

甘え上手なのかはわからないけれど、佐助はたったそれだけで私の望みを悟ってくれたらしい。少し空いた指の間に自分のそれを差し入れ、ぎゅっと握ってくれた。

(恋人繋ぎです……)

ほわほわとする胸を片手で押さえていると、くすりと笑う声がする。

「姫様、本当に倖せそうな顔するからさ。俺も嬉しいよ」

恋人冥利に尽きるよね、と佐助は冗談混じりに言う。

それに私の頬は一気に上気し、暑さと恥ずかしさで俯くしかなかった。








青空にぽつぽつと風に流れる白い雲。

今日は晴天だから、城下はこれ以上ないというくらいに賑わっていて、行商のおじさんの活気のある声や売り子のお姉さんの明るい声が飛び交っている。




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「見えない臓器の名前は」
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