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「ま、まぁいいけど……うん」
「そうと決まれば!がんばりましょうねっ、ルーク!」
うじうじしてても何も始まらないから。少しでもガイさんに好きになってもらえるように頑張りたいと思います。
ルークの手を固く握ったまま、私はにっこりと笑みを浮かべた。
というわけで、ルークとの同盟のもと、数日前から行動を開始したわけなのですが。
「ナタリアさんっ。ガイさん知りませんか?」
「ガイ?見ていませんわね」
「……ありがとうございます」
せっかくルークにガイさん情報をたくさんもらったのに、姿が見えなくて焦ってしまいます。うう、ナタリアさんも知らないっていうし……
「前途多難です……」
「何がだい?」
「──え、それはですね……て、あああガイさんっ!」
見つけたー!と指をさすと、目を丸くされる。いきなり背後からひょいっと出てくるなんて、反則ですよ……
「何か悩みごとかい?俺でよければ聞くが」
「!ほんとですかっ」
本当の悩みというのはそう簡単に口にできるものではないけれど、話ができるチャンスです。
眸を輝かせて距離を詰めると、ガイさんはにっこり笑って頷いた。
原理は解らないけれど、私はガイさんの女性恐怖症の対象外であるらしい。
私に近づいても、触れても、何の変化も起こらないと知ったとき。ガイさんはたいそう驚いたそう。
もしかして私、女の子に見られてないのかなと心配したときもあったけど、それもどうやら違うみたい。ガイさんは私のことをすごく丁寧に扱ってくれるから。
「あのですね、ガイさんっ!ルークにっ、」
「あー……ごめん。ちょっとその相談には乗れないよ」
「えっ」
いきなり途中で遮られて、私はぽかんとする。
見逃さなかった。たった一瞬ではあったけど、ガイさんが苦痛であるかのように顔を歪めたのを。
じわじわと込み上げてくるのは困惑と、不安。急に意を翻すなんて滅多にないことだから、何と言っていいのかわからない。
『話はまだ途中ですよ』?……それとも『どうしたんですか、突然』?
ぐるぐると思考を巡らせながらガイさんを見上げると、苦笑を零して謝られた。
「そんな顔をしないでくれ。ごめんな、今のは俺が悪かった」
ガイさんはゆっくりとした手つきで私の頭を撫でた。寂しそうに細めた目を向けて、そうだよな、と声を落とす。
「ヒナも、女の子だもんな。好きな奴くらいできるよな」
「……ガイさん?」
「それで、ルークがなんだって?」
大人びた微笑みに、私は焦燥にも似た思いを抱き始める。
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